「ちょっと比べられない」 19歳日本人MF、ドイツで挑む夢のブンデス出場と学業の両立
【アペルカンプ真大インタビュー|第2回】デュッセルドルフのリーグ開幕戦でベンチ入り「めっちゃ楽しかったです」
ブンデスリーガクラブのフォルトゥナ・デュッセルドルフU-23に所属するアペルカンプ真大(しんた)は、今季のブンデスリーガ開幕戦となったブレーメンとの試合でベンチ入りを果たしていた。何から何までが初めての体験。ちょうど取材で訪れていた筆者は、チームメートと楽しそうに話している姿を目にしていた。夢にまで見たプロの側に、自分がいることを実感していたのだろう。
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「もちろんびっくりしましたし、素晴らしいことでしたね。自分もどういう感じなのか分からなかったので、実際にピッチに立って、スタジアムに大勢のファンがいて、ウォーミングアップの雰囲気も全然違って。めっちゃ楽しかったです」
その時のことを思い出しながら、嬉しそうに話す。今季は夏のプレシーズンで定期的にトップチームの練習に招集され、合宿にも参加。トップチーム監督のフリートヘルム・フンケルは、アペルカンプについて「U-19の試合を視察した時には、正直そこまで目立っていたわけではない。だが、若い選手がよりレベルの高いところでよりスピードを求められる環境でプレーすると、そのポテンシャルが引き出されるものだ。トップチームで練習する時間を重ねれば重ねるほどに、どんどん強くなっている。自信を持って取り組み、競り合いにも臆せずに立ち向かっていく」と地元紙の取材に答え、その成長ぶりを高く評価していることを明かした。
トップチームでの練習は、これまでの練習とは何もかもが違う。特に“考えるスピード”が圧倒的に違うという。
「U-19の頃はボールを持って考える時間が少しはあって、U-23では短くなったけどまだ少しはある。でもプロだと、もう全くない。ボールをもらう前に何をするか、周りを見たりしないと、すぐに潰されてしまいますね」
1回の練習ですべてを出しきる。頭をフル回転させ、すべてのエンジンをフル稼働させて、必死に食らいついていく。毎回の練習が、どれだけ刺激的だったことだろう。短い期間ながら凄まじいスピードで、様々なことを吸収していった。
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。