ネイマールが“変わった” 因縁のカバーニにPK譲り「ハッピー」…真のエースへ脱皮か
【識者コラム】CLガラタサライ戦で見せたPSGエースの“落ち着いた姿”
ネイマールが変わった気がする。
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夏のバルセロナへの移籍が実現せず、負傷もあって開幕に出遅れた。復帰直後に得点して「やっぱりネイマール」という話にはなったが、その実力はともかくとして、心はすでにパリ・サンジェルマン(PSG)から離れてしまっているエースに対して、ファンの心情も複雑だったのではないか。
ネイマールは活躍しているけれども、どこか「仕事だからやるけどね」という冷めた雰囲気も感じられた。ただ、それは見ている側の一方的な思い込みだったかもしれない。冷めたのではなく、落ち着いたのかもしれない。
UEFAチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ最終節のガラタサライ戦、ネイマールはPKをエディンソン・カバーニに譲った。キリアン・ムバッペが倒されてPKを得ると、ネイマールはムバッペの手からボールを取り、少し離れたところにいたカバーニのところへ届けた。そして、カバーニがPKを決めると、真っ先にカバーニに飛びついていった。ネイマールもカバーニもムバッペも、皆ハッピーに見えた。
ネイマールとカバーニには、PKを巡っての因縁がある。
ネイマールがPSGに桁外れの移籍金で加入した2017年9月、リーグ・アン第6節のリヨン戦でカバーニがPKキッカーをネイマールに譲らなかった。そのことでロッカールームでは2人が激しく対立したと報道されている。
さらに続報として、ナセル・アル=ケライフィ会長がカバーニに「PKを譲るなら100万ユーロ(約1億2000万円)のボーナスを用意する」と伝えたとも。カバーニには得点王になったら100万ユーロのボーナスが支給されることになっていた。だからPKを譲らなかったのだと考えた会長は、諍いを沈めるために提案したという。カバーニは「金の問題ではない」と申し出を断ったそうだ。フェイクニュースの匂いもするが、火のないところに煙は立たない。ネイマールとカバーニの間に何かはあったのだろう。
その後は、それ以上の問題には発展していない。ただ、エース同士のプライドの張り合いというのは、割とよくある話である。
西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。