堂安&久保のU-22招集で露呈した森保監督「兼任の弊害」 なぜ“半信半疑”のプレーが生まれたのか?

日本代表の森保監督【写真:Yukihito Taguchi】
日本代表の森保監督【写真:Yukihito Taguchi】

メリットは若手のスムーズなA代表への引き上げだが…一方でモチベーション低下も

 指揮官は敵地キルギスへの遠征を終えて、16日に帰国。11日から合宿を行っていたU-22日本代表に合流し、試合前日の公式練習で堂安と久保の“融合度合い”を確認した。特に堂安は、東京五輪世代の立ち上げ当初の2017年12月にはすでに海外へと渡っていたため、今回が初招集。この2年の間にA代表の主力までに成長を遂げた21歳は、もちろんエース候補として合宿に参加した。A代表の常連となっている久保も同様。2人がダブルエースとしてチームの中心になっていくが、いきなり“融合”させるには森保監督が練習で直接指揮を執る時間があまりに短すぎた。

 ほぼ“ぶっつけ本番”で試合に入ると、周囲の選手はどうしても視線が堂安や久保に向いてしまう。状況を打開しようと、堂安と久保の2人も奮闘する。A代表の選手として期待された2人は、やるべきことをしっかりやった。個々のレベルアップが必要であるのはもちろんだが、選手のなかでは試合中に立ち返るチームとしての“基盤”が見当たらず、結果、堂安の試合後の言葉「半信半疑」でプレーすることになってしまった。

 兼任監督による最大のメリットは、若手のスムーズなA代表への引き上げだ。五輪世代の選手も「A代表のチャンスがあるぞ」と言われてきた。だが、実際は試合前日に姿を現すことで、ある選手は「最初から決まっているのか……。自分たちは見られていない気がする」と感じたという。選手は全力で臨む練習からのアピールも、時間が短く、森保監督の目に映っていないのではと感じれば、モチベーションの低下にもつながってしまう。堂安と久保の“融合”はもちろん大事で、2人は仕事を果たしたが、これまでの同世代を支えてきた周囲の選手まで行き届いた配慮が行われていたかというと、疑問が残る。

 今回のU-22代表の招集メンバーで欧州組は8人。過去の五輪世代と比べると、海外でプレーする選手は増え、A代表の主力もいる。なかなかフルメンバーを招集できない現状もあり、今年はアジアカップ、コパ・アメリカ、W杯アジア予選と公式大会が続き、A代表に比重を置かざるを得なかった。森保監督自身にかかる負担は大きく、五輪代表の強化において難しい状況であることは確かだ。

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