「給料はいくらでも良かった」 元柏の澤昌克、36歳でキャリア3度目のペルー挑戦

献身的なプレーは今も変わらず、日々の練習にも全力で取り組む【写真提供:ウニオン・ウアラル】
献身的なプレーは今も変わらず、日々の練習にも全力で取り組む【写真提供:ウニオン・ウアラル】

再びプロとしてピッチに立てる喜び、豊富な運動量はいまだ健在

「リマの自宅から通えるなら、給料は正直いくらでも良かったんです」

 2部となれば助っ人といえど、当然高いサラリーは望めない。だが、そんなことよりも、環境は悪くとも再びプロとしてピッチに立てることが嬉しかった。

 ペルー2部は12チームあり、優勝チームは1部に自動昇格。2位から7位のチームはプレーオフを行い、その上位2チームはペルー杯の2、3位チーム(優勝チームは1部に自動昇格)と再びプレーオフを行って、そのなかの上位2チームが1部リーグに昇格できるというシステムだ。チームは現在、プレーオフ進出圏内の6位に位置しており、14年にデポルティボ・ムニシパルを2部から1部に昇格させている澤に課された使命は当然、その経験を生かし、チームを1部へと昇格させることだ。

 ポジションは4-3-3の左右のFW。積極的にシュートを打ちにいくストライカーとしての本能はもちろん、90分走り回る豊富な運動量、そして献身的な守備もまだまだ健在だ。

 チームには24歳以下の若い選手が多い。というのも、ペルーには若手に実戦経験を積ませ、育てるために、20歳以下の選手を1部では各チーム年間計4000分、1部よりも試合数が少ない2部でも年間計2000分以上出場させなければならず、さらにピッチ上には常に24歳以下の選手が4人以上いなければならないというルールがあるからだ。それが守れないチームは勝ち点を剥奪される。そのため、チームは若手中心の編成にせざるを得ず、ウアラルでも1部の強豪チームから若手がレンタルされる形で多く所属している。

 だが、経験の少ない選手が多いため、逆に澤のようなベテラン選手が重宝されるのだという。若手の給料は安く、チーム内で車を所有している選手は10人未満。多くの若手選手はバスやタクシーで練習に通っており、面倒見のいい澤は練習後、数人の選手を車に乗せ、それぞれの家に送り届けてから自宅に帰るのが日課だ。

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