「不甲斐ない」 香川真司、“不発”に自責の念も…サラゴサ記者は理解「常に警戒されている」

香川真司のユニフォームを着たパブロ・バラサさん【写真:Football ZONE web】
香川真司のユニフォームを着たパブロ・バラサさん【写真:Football ZONE web】

サラゴササポーターは香川に心酔 「別カテゴリーの選手だ。スペクタクルだよ!」

 そしてヌマンシア戦の日、サラゴサの街は400万人が集まる年に一度の大きな祭り「フィエスタス・デル・ピラール」の最終日だった。サラゴササポーター約1500人は連日の興奮が冷めやらぬまま、敵地ソリアまで約150キロメートルの道のりを駆けつけた。

 そのなかの1人、「SHINJI KAGAWA」のネーム入りユニフォームを着たパブロ・バラサさんは試合前、「ドルトムントからカガワのことを見ているけど、別カテゴリーの選手だ。スペクタクルだよ! ボールを持った時、誰よりも上手いのが見て分かる」と、その印象を語ってくれた。

 気温20度を超えたこの日、試合開始16時を前に選手たちは「頑張れ、ラファ」と綴られたドゥワメナを励ますシャツを着用して入場。香川は2試合連続の先発出場を果たした。

 ドゥワメナの長期離脱により、ビクトル・フェルナンデス監督はプラン変更を迫られ、システムをいつもの4-4-2から4-2-3-1へと変更した。普段左サイドハーフでプレーしているMFジェームズ・イグベケメをMFイニゴ・エグアラスと組ませてのダブルボランチ、ドゥワメナの代わりとして指名したポンボを左サイドハーフ、MFラウール・グティを右サイドハーフ、香川をトップ下、そして7得点でチーム得点王のFWルイス・スアレスを1トップに起用している。

 キックオフ直後、香川がチーム最初の決定機の起点となるも、システム変更の影響もあってか、その後パスを受けることがあまりできなかった。時折ボールをもらうもサイドにはたくだけで、決定的なシーンを生むことなく時間だけが経過していく。

 前半終了間際にようやく本領を発揮し、高いボールキープ力を見せて相手からファウルを引き出していく。しかしキッカーを務めた2度のFKはどちらもゴールに向かって弧を描くも、上手く味方に合わせられなかった。

 後半に入っても前半と状況は変わらず、香川の足もとにはボールがあまり入らない。そんななか、後半10分にグティのシュートのお膳立てをすると、同14分にはシュートシーンを作るもギリギリのところでオフサイドを取られた。さらに同18分にハンドでのPKを誘発するCKを蹴るも、キッカーを務めたスアレスが失敗。この日は見せ場を作ることなく、同30分にピッチを退いた。

 この日の香川について、スペイン紙「マルカ」と「AS」はともに1点(最高3点)を付けたが、特にプレー面についての言及はなかった。

高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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