故障に泣き続けたエリートの矜持 J1復帰弾を決めた福岡DF中村が乗り越えた挫折の日々

後半42分に強烈な同点弾!

「福岡でもう一度、輝きたい」
 その言葉を吐き出した男は、まさに有言実行の活躍を大一番で見せた。
 福岡のDF中村北斗は6日、C大阪とのJ1昇格プレーオフ決勝でチームを5年ぶりのJ1へと導く同点ゴールを決めた。今季J2年間3位の福岡は、引き分ければ昇格が決まる一戦だった。だが、後半15分に先制点を奪われる苦しい展開となった。
 後半も残りわずかとなる中、徐々に焦りの色が濃くなっていく。そんな中、一振りを狙う男がいた。同42分、FW坂田から左サイドのFW金森へと展開。折り返しに中央でFW中原がつぶれると、そこには自陣から猛然と走り込んできた背番号「22」がいた。
「1点を取るしかなかったので、思い切り振り抜きました。その前にセンタリングを上げた場面があり、そこでシュートを打っておけばという悔いがあった」
 中村は、こぼれてきたボールにありったけの力を送り込んでゴールネットを揺らした。その一振りは、それまでの鬱積(うっせき)してきた彼のサッカー人生を晴らすかのような豪快な一撃だった。

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