「過剰な宣伝を凌駕」 重圧はねのけた久保に英記者も脱帽「正真正銘の最高傑作に…」

久保への適切なバックアップを提言 「大事なのは、過度な期待で久保に負荷をかけないこと」

 そのようなことが起きるのは、このヤングスターの評価が先行してしまっているためだ。対戦相手の選手やコーチは、久保が相手を切り裂く武器を持っていることを事前に把握していた。試合を読む力、深い位置まで落ちてくる力、ドリブルで守備陣の間を駆け抜ける力、そして対戦相手が対処できないようなスルーパスを供給する力だ。

 チリ戦ほど顔を出す頻度が少なかったエクアドル戦でさえ、自分自身と他の選手へのチャンスを切り開いていた。前半に自身の力で決定機を生み出したが、彼の個人技には守護神のアレクサンデル・ドミンゲスもボールをバーの上に逸らすのが精一杯だった。

 若さを踏まえると、キャリアをスタートさせたばかりの彼にこれ以上のものを求めるのは酷だろう。18歳になったばかりで国を背負う希望が託され、2020年の東京五輪やその先の偉業への期待もかけられている。

 大事なのは、過度な期待で久保に負荷をかけないことだ。ピッチ内外の両方で適切な道を歩ませなければならない。もし彼が自身のポテンシャルを認知しているならば、成長するためのチャンスを与え続けなければならない。彼の選手としてのピークは10年後にあり、来年の東京五輪や2022年のW杯ではない。

 彼には疑う余地のない才能が宿っており、それを早いタイミングで証明した。期待に応えるだけの資質も備えている。成長と飛躍を繰り返し、経験を重ね、選手としての武器を増やしていくことができれば、久保は日本とアジアにおける正真正銘の“最高傑作”になることができるだろう。

マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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