「ウルグアイ戦出場14人」を金田喜稔が採点 「最高級」と称賛のプレー、“物足りない”選手は?

守備面でも柴崎の貢献度は高かった【写真:AP】
守備面でも柴崎の貢献度は高かった【写真:AP】

柴崎は攻撃面だけでなく「危機を素早く察知した守備も見事」

■安部裕葵(鹿島/→後半22分OUT)=★★★

 守備時には2トップのような形で、岡崎と連動しながら相手のセンターバックにプレスをかけにいった。ヒメネスとゴディンはビルドアップ時に横幅を取るから、守備側の追い方はけっこう難しいが、岡崎と絶妙な距離感を保ちながらプレスをかけるやり方がかなり効果的だった。その反面、攻撃においてはもっとできるという印象。前半10分に岡崎のヘディングシュートに結びつけたクロスなど、良いシーンもあったがその数は決して多くなかった。本人も後半22分に交代となり、もっとやりたかったとの思いはあっただろうが、鹿島でACLやクラブワールドカップで見せてきたプレーを考えれば、物足りなさが残るパフォーマンスだった。

■三好康児(横浜FM/→後半38分OUT)=★★★★★

 本気のウルグアイを相手にした一戦で2ゴールという結果は、文句なしの“5つ星”だ。4-2-3-1の右サイドハーフに入り、左利きの選手がそのポジションを務める良さを存分に発揮してくれた。立ち上がりから積極的に仕掛けると、中に切り込んでからミドルシュートを狙って相手に意識させると、前半25分には縦に切り返して突破するスピードを見せて、見事な先制ゴールを逆足の“右”で決めた。対峙した相手DFラクサールが足を痛めていたとはいえ、柴崎のパスを受けてからのボールの運び方は素晴らしかった。2点目も左サイドから崩す流れのなかで、こぼれ球に対する嗅覚を見せ、日本が再度リードを奪う展開を作った。

■柴崎 岳(ヘタフェ)=★★★★

 チームが勝ち切れなかったため“4つ星評価”としたが、限りなく“5つ星”に近いパフォーマンスだった。1点目の三好へのサイドチェンジパスは、高さも強さも「最高級」のパス。それも自陣左サイドでスローインをもらい、相手に囲まれた状況で振り向いた瞬間に逆サイドの三好を見ているというのは、柴崎だからこそ見える景色だろう。1試合を通して見ても、前線の岡崎や安部に効果的な縦パスを入れた回数はチリ戦よりも多く、柴崎がゲームを動かしていた。また攻撃から守備に切り替わった際の、相手のカウンターに対する守備も機能。南米のチームで最も怖いのは、自分たちが攻めている時の横パスのミスや、キープできずに取られて一発のパスを出された時だが、その危険を察知して素早く相手に寄せてパスコースを消しに行くなど、守備面でも柴崎の貢献度は高かった。そのあたりの感性、ポジション取りはスペインで揉まれて磨かれたのだろう。

■板倉 滉(フローニンゲン)=★★★★

 カバーニが前線から下がってくるなど相手がポジションを変えてくるなかで、中盤の底で運動量は多かった。チリ戦では中島の背後のスペースを相手に狙われたが、この試合では板倉が左サイドに流れてピンチの芽を潰していたシーンが多かった。高さもあり、足もとの技術もあるためプレーエリアはもともと広い。この試合ではパスミスもあり、攻撃面に課題を残したものの、次につながるプレーを見せたのは確かだ。

金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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