なでしこリーグMVP受賞で”おとぼけ”スピーチ ベレーザ阪口が自然体を貫き頂点へ

“緑の心臓”を奮い立たせたもの

 表彰式を終えた後の取材で、「クラブの活動の一環で、週に1回小学校訪問に行っていることで、スピーチがうまくなりましたね」と照れ笑いした。

 阪口自身が話したように、今季は6月から7月にかけて女子ワールドカップ・カナダ大会が行われた。ラウンド16のオランダ戦では美しい連動性から大会屈指のベストゴールとなるミドルシュートを決めた。決勝でアメリカに敗れたが、なでしこジャパンの中心選手としてフル稼働した疲労は、肉体だけでなくメンタル面にも大きなダメージを与えていた。それでも、そんな阪口を奮い立たせたのは、仲間の存在と大好きなサッカーだった。

 来年も2月末からリオデジャネイロ五輪の予選がスタートし、8月には本大会と、金メダル獲得への厳しい道のりがやってくる。「これですべて終わってしまったのではなく、これからですね」と、阪口は前を向く。

 表彰式では、MVPの副賞としてティファニー社製のアクセサリーが送られた。いつでも自然体の“緑の心臓”は、「これ、使う機会あるんですかねえ。大事にしまっておくんじゃないですか」と、最後まで柔和な笑みを浮かべて会場を後にした。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

荒川祐史●写真 photos by Yuji Arakawa

 

 

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