ロシアW杯の屈辱から1年… ドイツ代表“復活の鍵”を握る万能型「新リーダー」の姿

ドイツ代表MFキミッヒ【写真:Getty Images】
ドイツ代表MFキミッヒ【写真:Getty Images】

ボランチで輝きを放つキミッヒ、ドイツ代表の「リーダーの系譜を継ぐ男」

 2018年ロシア・ワールドカップ(W杯)から約1年が過ぎた。優勝国として臨みながらグループリーグ敗退となってしまったドイツ代表はその後痛みを伴いながらも、精力的にチームの若返り、活性化に努めている。先日行われた2020年欧州選手権(EURO)予選のベラルーシ戦(2-0)、エストニア戦(8-0)では、そんな彼らの成長ぶりが確かに見てとれた。

 新生ドイツの中で主軸として鍵を握る存在が、ヨシュア・キミッヒだ。元々はボランチの選手だが、代表チーム事情でこれまでは右サイドバックとしてプレーしていた。正確な技術、試合状況に適したプレーを選択できるプレーインテリジェンス、弛まぬ向上心。あっという間に順応したキミッヒは所属クラブのバイエルンでも同ポジションで卓越したプレーを見せており、世界でもトップレベルの選手に上り詰めた。

 そんなキミッヒがこの1年間、代表ではボランチとしてプレーしている。かつてヨアヒム・レーブ監督は、元ドイツ代表キャプテンで同じくワールドクラスの右サイドバック(SB)だったフィリップ・ラームを、チーム事情でボランチ起用したことがあった。監督のイメージ通りに攻守でプレーできる選手が、どうしても必要だったからだ。生粋のSBだったラームと違い、キミッヒは本来ボランチでプレーしていた経験がある。代表で試合を重ねるごとにプレーの幅がどんどん広がり、攻守のどの局面でも貴重な働きを見せている。

 加えてリーダーとしての気質を備えているのも大きい。バスティアン・シュバインシュタイガー、トニ・クロースの系譜を継ぐ男だ。

 4月の代表戦前に、ベテラン選手であるトーマス・ミュラー、マッツ・フンメルス、ジェローム・ボアテングの3人に対して、レーブ監督は「今後代表に招集しない」旨を発表。ドイツメディアが大騒ぎをし、選手、監督、関係者が口々にコメントを求められた。とはいえ、現役代表選手にとってはなかなかコメントしにくいところだ。キャプテンのマヌエル・ノイアーは、あくまでもどちらをも立てる“大人の対応”で答えていた。

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中野吉之伴

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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