ドルトムントで輝きハリルJで沈黙 香川の能力を引き出せない相互理解の低さ

2列目と後方の選手の間に生じる感覚のズレ

 シリア戦とイラン戦で共通したのは、日本代表が前半に低調な試合運びを見せたことだ。特に最終ラインからビルドアップする場面で、攻撃をフィニッシュで完結させることができていなかった。香川に加えて本田圭佑(ACミラン)、原口元気(ヘルタ)か宇佐美貴史(G大阪)が並んだ2列目に対し、有効な形でボールが供給されない。2列目の選手がパスを出してほしいタイミングと、後方の選手がパスを出せると感じる瞬間のズレが随所に感じられた。香川の技術とアジリティがあれば、自らのタイミングでボールを受ければ、対峙する相手とのフィジカル差を上回ることが可能なのは、ドイツで証明している。そうした相互理解も、日本代表における今後の大きな課題になるだろう。

「フィジカルの強い相手にどう戦うか。みんな裏への意識はあったが、簡単に良い形は作らせてくれない。ボールを失うのではなく、ファウルをもらうことであったり、起点を作らないといけない」

 香川はこのように反省の弁を述べた。日本の強みが2列目の選手たちの能力にあることは、恐らく自分たちと相手の共通認識になっている。その武器をどのように生かしていくか。ドルトムントで「ファンタスティック4」と呼ばれる攻撃陣の一角を担う香川の能力を、いかにして日本代表で引き出すか。それもまた、ハリルジャパンの今後の強化につながるはずだ。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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