かつてピッチで命を落とし掛けた元選手がモウリーニョの言動に大激怒

「選手の人生が懸かっている」

 チェルシーのジョゼ・モウリーニョ監督がピッチに倒れ込んだ選手の治療を行うために駆け込んだエバ・カルネイロ女医を批判した問題で、元選手が大きな糾弾の声を上げている。英紙「サン」が伝えている。
 その人物は、コンゴ出身でイングランド国籍の元サッカー選手である、ファブリス・ムアンバ氏。同氏はボルトン・ワンダラーズ所属時の2012年3月17日のFAカップトットナム戦で、試合中に接触のない状況でピッチに倒れ込んだ。その際、心停止状態に陥っていたムアンバ氏は、ピッチ上で人工呼吸やAEDによる応急処置を受けた後、病院へと搬送。その途中で 受けた心肺蘇生措置により心臓は動きだした。その後、集中治療室での処置が実った形で、自発呼吸と意識も回復。しかし、医師からの勧告もあり、同年8月に現役を引退していた。
 自身の経験を踏まえ、ムアンバ氏は怒りをもってこう語っている。
「確実なことは、選手が第一だということだ。選手が負傷をした時、メディカルスタッフには選手を助ける義務があるんだ。もし、医師がモウリーニョの発言に耳を傾けたのならば、選手がピッチ上で死に至る危険性があるんだ」
 また、ムアンバ氏は、モウリーニョ監督の今回の発言に「理解ができない」と語っている。なぜならモウリーニョ監督が2006年当時、レディングとの一戦でGKペトル・チェフがピッチ上で頭蓋骨陥没骨折の重傷を負い、一 時は意識不明に陥って選手生命も危惧されたことを目の当たりにしていたからだ。その際、モウリーニョ監督は、相手選手を激しく非難していた。
「とにかく、モウリーニョの言葉などに耳を貸してはいけないんだ。選手の人生が懸かっている」
 ムアンバ氏は、メディカルスタッフがモウリーニョ監督の意見に同調しないようにと、厳しい言葉を並べていた。

【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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