“アジア杯想定”のパナマ戦で見えたもの 低調な日本を変えたキラーパスと両翼の奮起

青山は得意のキラーパスをで攻撃を活性化した【写真:田口有史】
青山は得意のキラーパスをで攻撃を活性化した【写真:田口有史】

状況を一変させた青山のキラーパス、南野の先制弾をお膳立て 後半には両サイドMFが…

 これに関して森保監督は、「チームとしても、まだ何試合もしているわけではないので、今日初めてお互いにプレーする選手もいます。もっともっとクオリティーを上げてミスを少なくするのに越したことはない。選手は姿勢を見せてくれた。ミスをしたらミスした選手が取り返す。周りの選手もリアクションしてくれたのを前向きに評価したい。トライしてミスしても、取り返すリアクションをしてくれた。ミスをしたら全員で守る。それをポジティブに捉えたい」と庇った。

 そんな状況を一変させたのが、キラーパスを得意とするMF青山敏弘(サンフレッチェ広島)だった。青山は前半23分にDF室屋成(FC東京)へのサイドチェンジで決定機を演出し、同25分にはGK権田修一(サガン鳥栖)のスローを受けるとロングパスで大迫につけ、原口のドリブルからゴール正面でFKを獲得。そして同42分、パスカットからMF南野拓実(ザルツブルク)の先制点をお膳立てした。

 そして後半になるとパナマも疲れたのか、日本ペースで試合は進む。前半は機能していなかった両サイドMF、伊東は中央に入ってフィニッシャーになることで2点目を決めただけでなく、サイドにスペースを作って右SB室屋の攻撃参加も引き出した。3点目はFW川又堅碁(ジュビロ磐田)のシュートが記録としてはオウンゴールになったが、自陣左サイドからスピードに乗ったドリブルで右サイドへと流れた原口の得点と言ってもいいだろう。

 トップ下の南野頼みの攻撃が、後半は両サイドのMFが機能し、追加点を奪取した。これはチームにも、選手個人にとっても好材料と言っていい。

六川 亨

1957年、東京都生まれ。月刊サッカーダイジェストの記者を振り出しに、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任。01年に退社後はCALCIO2002、プレミアシップマガジン、サッカーズ、浦和レッズマガジンなどを創刊して編集長を務めた。その傍らフリーの記者としても活動し、W杯や五輪などを取材しつつ、「サッカー戦術ルネッサンス」(アスペクト社)、「ストライカー特別講座」、「7人の外国人監督と191のメッセージ」(いずれも東邦出版)などを刊行。W杯はロシア大会を含め7回取材。現在は雑誌やウェブなど様々な媒体に寄稿している。

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