西野監督の“バクチ采配”はむしろ称賛に値 胆力が示したリーダーのあるべき姿

イエローカード2枚差に賭ける――西野監督が見せた勝負師の一面

 当然、日本としてはポーランド戦でゴールを狙いにいく選択肢もあった。さらなる失点のリスクを恐れず、堂々たる戦いぶりと称えられたかもしれない。だが、そこで追加点を許していれば失意の敗退となり、日本代表を取り巻く状況は今頃大きく変わっていたはずだ。西野監督は突破という結果を最優先する采配を振るったが、本人もそれが“最善手”とは決して思っていない。

「自分の信条としては不本意。でも選手に遂行させた。そういうサッカーもあって良いのかと、初めて感じたゲームであり、ワールドカップのグループステージを突破するなかでの究極の選択かもしれない」

 その決断は試合後に大きな反響を呼んだ。攻める姿勢を見せない日本に対して、世界中から「最悪の内容」「恥」「16強に値しない」「プライドを捨てた」「モヤモヤする」「煮え切らない」など様々な声が上がっている。MF本田圭佑も「ブーイングを送っていた、面白いサッカーを見たかったファンには申し訳なかったと思う」とコメントを残した。

 世界中の否定的な反応は理解できるものだ。しかしその一方で、一種の賭けとも言える究極の選択を下した西野監督は、自身初のW杯という大舞台で勝負師としての一面を存分に見せつけた。イエローカード2枚差に賭けるバクチ采配――大ブーイングや批判を覚悟しながら、大胆な決断を下し、最後までそれを遂行した胆力は特筆すべきものがある。

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