消えないスラブの血と 勝利への喝望/ズラタン・イブラヒモビッチ

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「よく聞け!! もし俺が更衣室の中に駐車したければ、更衣室の中に駐車するんだ!」

 

  また、ふがいない仲間のプレーに腹を立てた彼が「俺の娘だってお前たちよりましなプレーをするぞ」と言ったという話、イブラを挑発する相手にPSGのDFが「頼むからうちのボス(イブラ)にあまりちょっかいを出さないでくれ」と、イブラがキレるのを恐れて嘆願したという逸話もあった。

 彼の血の気の多さは、旧ユーゴ出身の両親を持つ彼の、スラブの血から来ていると言う者もいるが、それはむしろ、彼の勝利への執念からきているように思える。彼がミランで過ごした2011―12年シーズンを唯一の例外に、アヤックスからユベントス、PSGまで、所属したプロクラブで毎年優勝してきたのは、偶然ではないだろう。

 イブラはどの試合でも最後まで勝利をあきらめない最たる人物だ。「ここは自分がやるしかない」という場面では、仲間からボールをもぎ取ってFKやPKを蹴りにいくが、仲間がいい位置にいれば迷わずアシストする。そのプレーは、決してわがままでも利己的でもない。

 実際、彼を単なるトップFWとみなすのは間違いだろう。強靭な体でボールをキープし、広い視野でマークを外した仲間を見つけて、決定的なパスを出す。攻撃の全過程に絡む彼は、そのアシストでもチームに欠かせない存在であり、まさに八面六臂の働きぶりで、14億円を超える高額の年俸を正当化しているのだ。

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