W杯は「自分たちのサッカー」の祭典 清々しいほど頑なな世界と揺れ動く日本

日本でたびたび議論に上がる「自分たちのサッカー」【写真:Getty Images】
日本でたびたび議論に上がる「自分たちのサッカー」【写真:Getty Images】

日本でたびたび議論に上がる「戻るべき場所」の有無

 同じ言葉なのに、すっかり印象が変わってしまった。「自分たちのサッカー」だ。

 4年前のブラジル・ワールドカップ(W杯)の時は、ポジティブな意味で使われていたと思う。自分たちの特徴を生かしたサッカー、長所を発揮して勝つサッカー……そんな意味で使われていた。しかし大会後には、「自己満足のサッカー」というネガティブな意味に変わったため、うっかり「自分たちのサッカー」とは言えなくなってしまった。「自分たちのサッカー」は、日本代表の後進性を表す言葉のように受け取っている人もいるかもしれない。

 しかし、もうすぐ始まるW杯とは、まさに「自分たちのサッカー」の祭典である。「自分たちのサッカー」だらけだ。

 本田圭佑や遠藤保仁は「日本にはまだ確固としたスタイルがない」と話している。迷った時に「戻るべき場所」がないと。その点、W杯常連の伝統国は確かに自分たちのスタイル、「戻るべき場所」を持っている。いや、むしろその場所から一歩も出ないと言うべきかもしれない。

 変わりたくても変われないのか、それとも最初から変わる気などないのか。ほとんどの代表チームのスタイルには変化がない。ずーっと「自分たちのサッカー」だ。ブラジルやスペインが「自分たちのサッカー」を変えないのは理解できる。それで十分優勝を狙えるからだ。ところが、一度も優勝したこともなければベスト4にも入れないような国が、頑なに「自分たちのサッカー」にこだわるのはなぜなのか。これはもう反省がない、マンネリで進歩がないと言うべきなのではないか。

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西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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