数字上では物足りない? キプロス戦のデータから浮き彫りになった日本代表の現在地 

走行距離でも「最低限」のラインを下回る

 

 これらの数字を総合すると、現状の日本には物足りなさが残る。それが、65%対35%というポゼッション率、シュート数18本対3本という差に対して、最少得失点差の1-0に終わった結果にも表れているのだろう。もちろん、疲労の影響もあったのは事実だ。それは、走行距離を見ても分かる。テレビ中継の映像で示されたデータによると、全選手の総走行距離は104.19kmで、一人当たりに換算すると9.47kmと1試合の最低ラインの10kmを大幅に下回っていた。この日のトップ5は本田の9.35kmを筆頭に山口8.99km、香川8.79km、森重8.19km、そして後半34分に交代した長友の7.35kmだった。

 だが、先のチャンピオンズリーグでビッグイヤーを手にしたチームの選手は年間50試合をこなした上で、決勝を戦っている。常にポゼッション率60%を超えるバルセロナの選手は引いた相手に対し、自らアクションを起こし、11km以上走る選手はざらだ。日本がこれから始まるワールドカップで本気で優勝を目指すのであれば、わずか1か月の期間で7試合の死闘をこなさなければいけない。フィジカルコンディションが悪い状態であっても一定の運動量を保てることが世界のトップでプレーするための最低条件だ。「疲れている」と言っている場合ではない。

 優勝を現実的なものにするためにあえて厳しいことを言えば、現状に満足せず、直前まで本番仕様のサッカーを突き詰めていくことが大切だ。数値的に見ても、まだまだ改善の余地はある。4年前の岡田ジャパンがそうだったように、ザックジャパンも最後まで必死にもがき苦しんだその先に、本大会での躍進が待っているはずだ。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

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