日本代表DF対決 FC東京のDF森重真人がかつて背中を追いかけたライバルと対峙

ライバルがW杯前最後のJ1で対峙

 奇しくもその2人が、W杯前最後のJ1リーグで顔を合わせる。森重は「相手のことは考えない。いまは東京が一段階上に行くために殻を破らないと。代表のことは関係ない。まずチームのことが先。試合が終われば、先のことを考えたい。いまは目の前のことに全力を尽くしたい」と言葉を吐き出した。

 そして、そう言うと、間髪入れずにこう続けた。

「2個も、3個も考えられるほど器用な人間ではないので」

 手本を失った男は自分の課題と向き合い、それを一つずつ地道な努力で克服してきた。そして森重は昨夏、4年ぶりに日本代表に招集されると、「今の代表のセンターバックからポジションを奪いたい」と、今野、吉田の代表CBコンビに大胆にも宣戦布告したのだ。

 今野の前に立つのは、自分の後を追いかけてきたかつての後輩などではない。日本代表ではポジションを奪いあうライバルであり、6月の彼の地では再び隣り合ってピッチに立つ頼もしい仲間になるかもしれない。その少しだけ前に、かつて自分も巻いた腕章を巻く青赤のキャプテンとして、森重真人は今野泰幸と味スタで対峙する。

【了】

馬場 康平●文 text by Kohei Baba

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