独日本人「上がってきたところで怪我を」 明かす離脱中の苦しい胸中…チームに「恩返ししたい」

板倉滉が語った現在のコンディションとチームへの恩返し
ボルシアMGの日本代表DF板倉滉が10月27日、カールスルーエとのドイツ杯(DFBポカール)2回戦に途中出場して約20分間プレーし、怪我からの復帰を果たした。前半終了間際に味方選手が一発レッドで退場となったことで数的不利の中、2点のリードを守るチームに加わり、この日はアンカーとしてディフェンスラインの前で相手の攻撃に対応。インターセプトから自らシュートまで持ち込む場面も作るなど、チームの逃げ切りにしっかりと貢献した。
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そんな復帰戦後、自身のコンディションについては好感触もありながら、慎重に言葉を選んで語っている。
「まだ怪我明けなんで、もっと上げていかないとなっていうのはあります。でも、(今日の出場時間は)20分ぐらいかな、まず1つ出られたのが良かったです。やっぱり試合での感じと、普段、別メニューで(コンディションを)上げるのとでは感覚が違うんで。良かったかなと思います」
今季、ここまでの道のりはかなり難しいものがあった。復帰した古巣ではスイス代表CBニクラス・エルベディ、ドイツ代表歴のあるロコ・ライツ、最近ドイツ代表入りを果たしたヤニック・エンゲルハルトら主力が移籍。守備陣再建のキーとして、板倉には中心選手としての活躍が期待されていた。
だが、ボルシアMGは開幕6連敗と非常に苦しいスタート。責任感の強い板倉だけに、うまくいかないことへ感じるものはやはりあったという。
「本当に難しい時期に、自分が怪我で離脱するっていうところで。コンディションも怪我明けで最初は難しくて、やっと上がってきたな、ちょっと上がってきたなっていうところで、また怪我をしてしまった。非常に難しさは感じながらやっている」
一度復帰すれば、すぐに以前の状態に戻れるわけではない。試合を重ね、ようやく手応えが出てきたところで再び離脱する。積み上げてきたものを試合で発揮できないもどかしさに、チームの苦境も重なっていた。だからといって、責任感に押しつぶされたりはしない。メンタルがブレたりもしない。それは板倉がこれまで積み重ねてきた経験があるからだろう。
「やっぱりそういう悪い流れを変えていく、試合の中で違いを作っていけるのは、経験のある選手とか、上の人たち。そういう部分で引っ張っていかないといけないと思う。若手に生き生きしてもらえるように、もっと軸となっていかないといけないなというのを感じます」
光明は見えつつある。カールスルーエ戦の勝利で、ボルシアMGは2連勝を飾った。内容もかなり改善されてきている。少しずつチームにポジティブな変化が生まれているのではと尋ねると、それを認めつつ、改めて勝利の難しさを感じていると、語っていた。
「今、2連勝でいい形で来ていると思うんですけど、本当に1勝する難しさというのは、外から見ていてもすごく感じるし、今日も中でやっていて感じました。次も間違いなく難しい試合にはなると思いますけど、みんなのメンタルとかっていうところはもう全然違うし、それをうまく持っていければなと思います」
連勝によって得られた自信を大切にしたい。2試合勝ったことで課題のすべてがなくなるわけではないが、次の試合へ向かう選手たちの気持ちは確実に変わってきている。その変化を継続的な結果につなげられるかが、ここから問われる。
「自分としても、難しい時だからこそピッチに立って、変えていかなきゃいけないっていう思いでいます。このチームに拾ってもらっている分、やっぱり恩返ししたいという思いもあります」
このチームで自分が何を担うべきかという思いが、取材中の言葉には繰り返し表れていた。カールスルーエ戦では攻撃時に味方DFに的確な指示を出して守備陣を統率していた姿、そして仲間がその声に真剣に耳を傾けていた様子から、やはりリーダーとして欠かせない存在だというのが表れていた。
そのプレーぶりに監督のアレクサンダー・ブレッシンも「カップ戦で復帰を果たし、アンカーの役割を非常にうまくやってくれた」と高評価をしている。
まだコンディション的に完全な状態まで戻っているわけではない。だが、最初の復帰時より手応えを持って、次へ進もうとしている。本領発揮まであと少しといったところだろうか。
「また試合をしてみないと分からないっていうのもあるんですけど、ただ、最初の4試合と比べれば、立て直しは難しくないかなと。リーグ戦プラス代表でも試合に出させてもらっている。でも、もっと上げていかないといけないです」
自身のプレーを安定させることが、周囲の選手の思い切った判断や動きを支えることにもなる。板倉が口にした軸としての役割は、そうした日々のプレーを通じて形になっていくのだろう。復帰を果たした今、クラブへの恩返しをピッチで示す機会が、再び巡ってきた。負傷に振り回されずに、好コンディションの板倉が躍動する姿を楽しみにしたい。
(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)

中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)取得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなクラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国で精力的に取材。著書に『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。





















