苦しんだ“10番”とのギャップ「背番号の意味を」 世界との壁に葛藤…指揮官と乗り越え掴んだ1点

堂安が優勝を決めるゴールを挙げた
日本代表MF堂安律が10月5日、国立競技場で行われたキリンカップサッカー2026決勝ニュージーランド戦(2-1)で決勝点を挙げた。10番でキャプテン。重圧を背負った男が11か月ぶりの国際Aマッチ12点目をマークした。森保一監督が就任した2018年から主力として成長を遂げた28歳が、葛藤を乗り越えて掴んだ1点だった。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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気合いが違った。開始51秒、FW前田大然が頭で落としたボールを拾ってドリブル突破し、左足でシュート。この一振りで狼煙を上げ、次々と相手ゴールに襲いかかった。1-1で迎えた後半26分、MF中村敬斗が左サイドで切り込んでマイナスのパスを供給。走り込んだ堂安が冷静に決めた。2025年11月ガーナ戦(2-0)以来、11か月ぶりの一撃。この1点が決勝弾になった。
「ウイングバックだったらやっぱりあそこになかなか入っていけない。入っていけたら理想ですけど、ワールドカップ(W杯)で戦っている相手、それこそ(オランダ代表の)ガクポとか(ブラジル代表の)ヴィニシウスと対峙するなかで、さらに入っていくという強度は自分にはやはり、ここ最近はなかった。ウイングだからこそ入れるゴールでしたし、敬斗に感謝ですね」
北中米W杯では強豪と対戦するなかで、守備に追われた。攻撃にパワーを出しきれず、葛藤した。森保ジャパンの生命線とも言える、堂安の守備。選手としての幅を広げたが、周囲からのゴールへの期待は重くのしかかった。
「自分の能力を疑ったことはないので。使われたらやれるしという、自分の中での落とし所は正直あった。それは別に監督に文句じゃなくて、ウイングバックというポジションにも自分にはやりがいを感じているし、そこでの楽しさも充実はしている。不満ではなく、4バックに変わって、前で仕事をしろと言われたら、やれるしというのを自分の中で言い聞かせていた。そういうメンタリティでやっていました」
背番号10。「新しい10番像を見せる」と奮闘してきた。ゴールか、守備かーー。「この背番号の意味を自分としてはしっかり理解している。だからこそ葛藤は大きくなっていく一方だった」。北中米W杯を終えて、気持ちを整理し、決意した。「結果を出さないと」。全てをこなしながら、自らに課したのは点だった。
特別な思いもあった。この日が森保監督にとって国内ラストマッチ。2018年の立ち上げ当初から招集されて、73試合。森保ジャパンの出場記録では伊東純也の74試合に次ぐ2位だ。第1次、第2次、第3次の初陣で先発ピッチに立ったのは堂安だけ。まさに申し子で、恩師の門出に懸ける想いは人一倍だった。
「監督と僕の関係は、普通の人よりも深いストーリーがあると自分の中で感じていましたし、そんな中で、森保さんの国内最終戦で僕が点を取って勝たせることができたというのは、すごく嬉しいですし、縁を感じますね」
一時は招集されず、矢印を自分に向けられない時期もあった。だが、今の堂安は違う。葛藤も乗り越えてゴールを手繰り寄せるほど頼もしくなかった。指揮官に託されたキャプテンマーク。左腕に巻いたのは信頼の証。10番と指揮官、最後の時を迎えるまで“二人三脚”で戦い抜く。
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)


















