涙の一戦から1396日 実った“特訓”…俊輔コーチの秘策に4年の努力、「0-0」でも掴んだ「自信」

日本代表はエクアドルにPK戦の末に勝利した【写真:増田美咲】
日本代表はエクアドルにPK戦の末に勝利した【写真:増田美咲】

クロアチア戦では挙手制…PK戦は指名制で勝利

 涙に暮れたあの日から1396日ーー。森保一監督率いる日本代表は10月1日、横浜国際総合競技場でキリンカップ2026エクアドル戦に臨み、0-0のPK戦(5-4)で勝利を掴んだ。PKで敗れたクロアチアとのカタール・ワールドカップ(W杯)の決勝トーナメント1回戦から約4年。第2次森保ジャパンの2023年以降、コツコツと積み上げたPK練習が実った瞬間だった。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 信じて振り抜いた。南米の強豪と90分間を戦い抜いてスコアレス。試合はPK戦に突入した。1人目のキッカーは上田綺世。冷静に蹴り込んだ力強いシュートは左隅に決まった。2人目の鎌田大地、3人目の伊藤洋輝、4人目の相馬勇紀も際どいコースに蹴り込んで成功。一方、守護神の鈴木彩艶は相手の3人目のシュートコースを読み切ってセーブした。日本の最後のキッカー、5人目・前田大然はど真ん中。全員が成功を収めて、PK戦を制した。

 あの日は立ち上がれなかった。2022年12月5日、カタールW杯決勝トーナメント1回戦のクロアチア戦。延長1-1の末にもつれ込んだPK戦。キッカーに立候補した選手たちだったが、3人が止められ、1-3で敗退が決まった。涙を流し、ピッチから立ち上がれない選手もいた。森保監督は「この結果は残念ですが、受け止めなければいけない。選手たちは勇気を持って自分が蹴ると言ってくれて、プレッシャーがかかる中、チャレンジすることを見せてくれた」と敗戦を胸に刻んだ。この日から全ては始まった。

 指揮官が続投し、2023年3月から第2次森保ジャパンがスタート。この4年間、クロアチア戦による敗戦を忘れぬよう、活動のほとんどでPK練習をしてきた。2024年のアジア杯、今年6月の北中米W杯、大会前だけでなく、普段の練習から何度も何度も蹴り込んできた。前日9月30日のトレーニングでもPK練習を実施。溜まったデータを元に中村俊輔コーチが順番を提案した。森保監督が最終確認し、変更した後、選手を指名。入念な準備が全員成功につながった。

「(中村コーチから)終了間際に提案をもらって、そこから0-0PKということで、PK戦に挑みました。W杯ではPK戦にならなかったですけれど、その時も中村俊輔コーチ、前田(遼一)コーチ、そしてテクニカルの渡邉(秀朗)コーチがずっとデータをとりながらPKの準備をしてくれていた。中村俊輔コーチのアドバイスは選手に本当に自信を持たせてくれるアドバイスだったと思いますので全員決めてくれたのかなと思います」(森保監督)

 ピッチコンディションは悪かったが、関係なかった。それほどの自信があった。鎌田は「ある程度スタッフ陣も誰が普段決めて、決めてないとか(データを見ること)で選手を選んだと思う。例えば大然が今日真ん中蹴るっていうのは僕たちみんな分かっていた。普段、決めている選手が基本的には多いので。みんなリラックスして蹴れた」と、明かした。自分だけでなく、仲間のことも理解するほどPKに向き合ってきた結果だ。

 何より、強力なGKがいる。久保建英は鈴木彩について「前日練習で調子良かった。GK陣も調子良かった。もう止めてくれるんじゃないかなと思って見てましたね」。鈴木彩は「止めたシーンは先に動くことを意識してたので、相手の特徴を見ながらだった」という。上田ら強烈なキッカーと積んだ経験が生きた。

 来年1月のアジアカップに向けても弾みになる。前回大会はベスト8で終わり悔しい思いをした。PK戦であっても、なんであっても勝ち上がらなければいけないのが公式戦。指揮官は「チームで準備したことが今日1つ今後のシミュレーションとして機会を得られたことは準備としてプラスになった」と手応えを口にした。スコアだけ見れば0-0。だが、1396日の積み重ねを自信に変えた一戦になった。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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