アジア大会開幕も「見どころが見つけにくい」 将来のA代表と関係も…“W杯に直結”が難しい位置づけ

アジア大会に臨むU-21日本代表【写真:徳原隆元】
アジア大会に臨むU-21日本代表【写真:徳原隆元】

強豪の戦いを想定できるが…

 アジア競技大会サッカー男子の初戦、日本はU-23ホンコン・チャイナに2-0で勝利した。23歳以下でオーバーエイジ3枠の大会に、日本はあえてU-21代表で臨んでいる。2年後の五輪、さらに4年後のワールドカップ(W杯)を見据えた強化である。

【PR】DAZNを半額で視聴可能な学生向け「ABEMA de DAZN 学割プラン」が新登場!

 サッカー男子はアンダー世代の大会ということもあって注目度は今ひとつ。スタジアムには空席も目立った。ある意味、見どころが見つけにくい大会かもしれない。

 日本はU-21代表で参戦しているが、この年代のベストチームなのかと言えば実はそうとも言えない。佐藤龍之介(バレンシア)といったこの世代の主力級とおぼしき選手が参加していないほか、市原吏音(AZ)や小杉啓太(フランクフルト)も国際Aマッチウィークの関係で9月21日以降までチームに合流できない。

 欧州クラブにとって17~21歳の日本人選手は「買い」の対象になっている。この年齢で加入させれば移籍金は比較的安く、その後に高く売れば利益が大きいからだ。25歳では実力はあっても移籍させるときに価値が下がる。売ることをあまり考えない一部のビッグクラブはともかく、大半の欧州クラブにとっては安く手に入れて高く売れる20歳前後の選手こそ獲得対象になるわけだ。だから力のある選手ほどすでに欧州移籍していて、招集に強制力のないアジア大会には参加していない。

 これは2年後のロサンゼルス五輪でも同じことで、それまでにはさらに何人かは欧州移籍しているだろう。つまり、この年代の代表は良い選手がどんどん抜けていく。そうした特殊事情のあるチームを大岩剛監督は前回パリ五輪でも上手くまとめてきた。

 ホンコン・チャイナ戦でも日本らしいプレーぶりだった。忠実なプレスバックはA代表との共通点だ。W杯で強豪と対戦した場合、ボールを保持するのは相手の方になると想定される。非保持のプレーが多いなら守備力が先決。その選考基準を選手たちに意識させているのだろう。

 ただ、アジア大会では日本が圧倒的にボールを保持する試合が多くなる。アジアでの日本は強豪なので、多くの試合がそうなる。

 北中米W杯でいえば、そうした試合はチュニジア戦があったが、4年後でもそんなに状況は変わらないと思う。そうなるとアジア大会はW杯でメインにならない方のプレーで優勝を狙う場であり、いわば日本が世界の強豪となった時のシミュレーションにはなるかもしれないが、4年後のW杯に直接つながるかといえば微妙なところである。

 アジア大会は五輪予選ではなく、ここで勝っても五輪出場権を得られるわけではない完結した大会。プレースタイルもW杯に直結するわけでもなく、この世代の掛け値なしの最強編成でもない。選手たちは五輪代表監督、来年のアジアカップ後にはA代表監督就任が決まっている大岩監督の下で実力を示す機会ではあるが、ファンは何を見たらいいのか分かりにくくなっている感は否めない。

 ただ、A代表としっかりリンクしたチームなのは確かで、A代表ではしばらく見ていない攻撃型4-3-3システムがどう機能するかなどは見どころの1つだと思う。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)



page 1/1

西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング