中井卓大は「まだ22歳」 代表OBが注目…期待する“パイオニア”としての真価「日本にはいなかった」

今倍の中井卓大【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】
今倍の中井卓大【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】

中井卓大は「まだ22歳」 代表OBが注目…現在地と“パイオニア”としての真価「日本にはいなかった」

 FC今治は8月9日、アウェーのハワイアンズスタジアムいわきで行われたJ2開幕戦でいわきFCと対戦し、1-2で敗戦。この試合が日本復帰後のJリーグデビュー戦となった22歳のMF中井卓大ピピについて、開幕戦のプレーや彼のメンタリティ、そして今後の可能性について、元日本代表DFの太田宏介氏が独自の視点で語った。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)

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 試練を乗り越えようとする22歳の現在地と、彼が日本サッカー界にもたらす真の価値とは。レアル・マドリードの下部組織で育ち、幼少期から絶大な注目を集めてきた中井は今シーズン、Jリーグへの挑戦を決めてサッカー界で大きな話題を呼んだ。

 開幕戦では「対戦相手や展開の影響もあり、試合から消えてしまう時間があった」と客観的に指摘すると同時に、一瞬のボールタッチや足元の柔らかさには、違いがあったという。

 また、太田氏がそれ以上に高く評価したのは、試合外で見せる中井の誠実さと自己分析力で、「いろんなインタビューを見ても、自分の立ち位置や、スペインで思うような成功が得られなかった苦しいキャリアを、あの若さでしっかりと言語化して受け止めている。非常に誠実で、自分を客観視できている印象を受けました。ここから一つひとつ価値を上げていく段階に入ったのだと思います」と解説する。

 Jリーグは初挑戦となり、いわゆる逆輸入の形。スペインと日本のサッカー文化の違いに順応するのは容易ではない。それでも「慣れるには少し時間がかかるかもしれませんが、今の今治には中井選手がプレーしやすい条件が揃っている。何より素晴らしいのは、本人が『自分が』と自己主張するのではなく、『チームの昇格のために』とフォア・ザ・チームの姿勢を貫いている点です」と、今治というクラブ、そして今季就任したスペイン人指揮官のアベル・モウレロ監督のもとでプレーする環境は、中井にとってこれ以上ない好条件だと分析する。

 さらに、今治には若手がステップアップを果たす成功モデルが存在する。かつて今治からステップアップを果たし、ドイツのザンクトパウリへと羽ばたいた安藤智哉のような例だ。こうしたクラブのロールモデルの存在も、中井のモチベーションを後押しするはずだと太田氏は見る。

 また、太田氏は「まだ22歳ですからね」と強調。Jリーグから瞬く間に世界のトップへ駆け上がった近年の日本代表選手たちの軌跡を考えれば、中井の未来にはいくらでも可能性が広がっている。

「例えば佐野海舟選手のように、4年前はJ2や下部カテゴリーにいた選手が急成長して代表の軸になる例はたくさんあります。4年あれば何が起こるか本当に分からない。本人も4年後のワールドカップを目指すと公言していますが、その舞台は彼が育ったスペインを含む共催大会。十分間に合いますし、これからJ1、そして海外へとステップアップしていく姿に期待しかありません」

 さらに幼少期から欧州名門クラブの育成組織で揉まれてきた中井のキャリアは、これまでの日本人選手にはなかった稀有な事例であり、「彼のような育成ルートを経験した選手は、これまでの日本にほとんどいませんでした。だからこそ、彼がここからどう立ち上がり、どうキャリアを切り拓いていくかというプロセス自体が、今後の日本サッカーの育成にとって素晴らしい事例になります。間違いなくパイオニア的な存在ですし、その経験をいつかいろんな形で次の世代へ伝えていってほしいですね」と、彼の歩む道そのものが日本サッカー界にとって大きな財産になると期待を込めた。

 焦らず、着実に。日の丸を背負う未来へ向かって、FC今治での新たな一歩を踏み出した中井卓大の逆襲劇から目が離せない。

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