スラム街→EURO制覇「友達は悪事を」 危険な環境から…サッカーが「連れ出してくれた」

元ポルトガル代表のナニがインタビューに応じた【写真:徳原隆元】
元ポルトガル代表のナニがインタビューに応じた【写真:徳原隆元】

元ポルトガル代表のナニ「私にはカーボベルデの文化が根付いています」

 ポルトガル代表は、北中米ワールドカップ(W杯)でスペインに敗れてベスト16で大会を去った。そんなポルトガルでFWクリスティアーノ・ロナウドの盟友として、2016年のUEFA欧州選手権(EURO)制覇に貢献したのがMFナニだ。幼少期を過ごした環境は恵まれていなかったが、サッカーに打ち込むことで苦境を脱していった。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大/全4回の4回目)

【PR】ABEMA de DAZN 学割キャンペーン、最初の3ヶ月・月額980円で国内外の世界最高峰サッカーコンテンツが視聴可能に!

   ◇   ◇   ◇

 ポルトガルのリスボン近郊にあるアマドーラで生まれ育ったナニ。「私の青春時代の思い出はすべて、育ったアマドーラにあります。友達と遊んだり、通りで遊んだり、来る日も来る日もサッカーをしていました」。アフリカのコミュニティーを抱える街で、ナニ自身もカーボベルデという島国にルーツを持つ。

 北中米ワールドカップ(W杯)ベスト32に進出し、有名になった人口50万人ほどの島国。「父と母がカーボベルデ出身なんです。だから元々、私にはカーボベルデの文化が根付いています。今でも家族が住んでいるのでよく行きますよ。10の島からなる美しい島国で、素晴らしい場所です」と第2の故郷を語る。

 一方、アマドーラで幼少期を過ごした地区は、想像を絶するような環境だった。「静かな場所ではなく、子どもが育つには少し危険な場所でした。いわゆる、スラム街のような場所でしたから。そこでは、その場所で生きていくための覚悟と準備が必要でした」。ナニはそこでストリートサッカーに明け暮れた。

「とても危険でしたし、友達はいつも悪いことをしたがりました。流されて間違ったことをしないように、しっかり自分を律する必要がありました。でも神に感謝したいのは、私は常に注意を払い意識の全てをサッカーに向けていたことです。サッカーが私をその悪い環境から連れ出してくれたんだと思います」

 その後、ポルトガルの名門として知られるスポルティングCPのアカデミーに見出されると、18歳という若さでトップチームに昇格。UEFAチャンピオンズリーグ(CL)での活躍をきっかけにアレックス・ファーガソン監督に見出されてマンチェスター・ユナイテッドに移籍し、スター街道を駆け上がっていった。

 ユナイテッドではプレミアリーグ優勝4回、2007-08シーズンにはCLとFIFAクラブワールドカップを制覇。ポルトガル代表としては、2014年のブラジルワールドカップ(W杯)に出場すると、2016年のEUROでは全試合にフル出場して3得点。クロアチア戦で代表通算100試合出場も達成し、初優勝に大きく貢献した。

 キャリア終盤にはトルコ、スペイン、イタリア、アメリカ、オーストラリアなど様々な国のリーグでプレーしたが、2024年に戻ったのは故郷。「そこでの物語や思い出はたくさんあります」というエストレラ・アマドーラへ移籍した。

 同年12月にそこで1度目の現役引退。「言えることは、それは幸せな旅路であり、自分の出身地や、今の自分になれたことをとても誇りに思っているということです」と生まれ故郷への思いを明かした。今年1月にはカザフスタン1部アクトベで電撃復帰。育成に関わりながら39歳になってもボールを追っている。

(FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo)



page 1/1

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング