かつて国賊扱いされた主将「4年間苦しんだ呪縛」 札幌の劇的リベンジ「映画のような運命のいたずら」

イングランド代表で活躍したデイビッド・ベッカム【写真:AP/アフロ】
イングランド代表で活躍したデイビッド・ベッカム【写真:AP/アフロ】

バッシングの地獄を這い上がったキャプテン 舞台は2002年札幌ドーム

 FIFA北中米ワールドカップ(W杯)準決勝という極限の舞台で、世界のサッカーファンが熱狂するカードが実現した。イングランド対アルゼンチン。過去5戦してイングランドの2勝に対し、アルゼンチンが3勝で一歩リード。両国の対戦は、単なる強豪国同士の激突という枠を完全に超え、因縁で渦巻く物語で彩られている。

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 1998年のフランス大会でレッドカードを受け、母国イングランドで“国賊”扱いされるほどの猛烈なバッシングを浴びたデイビッド・ベッカム。殺害予告すら受ける壮絶な日々を過ごした彼は、しかし、そこから不屈の精神で立ち直る。

 4年の歳月を経てイングランド代表のキャプテンマークを巻き、精神的支柱へと成長したベッカムを待っていたのは、まるで映画のような運命のいたずらだった。2002年日韓大会のグループリーグで、イングランドはまたしてもアルゼンチンと同組に組み込まれたのだ。

 2002年6月7日、札幌ドーム。両国のプライドがぶつかり合う息詰まる攻防のなか、前半44分に試合が動く。イングランドのFWマイケル・オーウェンがペナルティーエリア内で倒され、PKを獲得した。キッカーはキャプテンのベッカム。スタジアム、そして世界中のファンが固唾を飲んで見守るなか、その右足が振り抜かれると、ど真ん中へ蹴り込まれた強烈なシュートが、ゴールネットを揺らした。

 その直後、ベッカムは感情を爆発させ、ユニフォームを引っ張りながら顔を真っ赤にして咆哮。4年間苦しんだ呪縛から完全に解放された瞬間だった。

 試合はこのベッカムの1点を守り切ったイングランドが1-0で勝利。イングランドはこの勝利で勢いに乗りグループを突破した一方、優勝候補の一角だったアルゼンチンはまさかのグループリーグ敗退という地獄を味わうこととなった。

 1966年の退場劇から始まり、1986年の神の手、1998年の若き才能の転落、そして2002年の劇的なリベンジ。半世紀以上にわたってW杯という極限の舞台で愛憎をぶつけ合ってきたイングランドとアルゼンチン。そして2026年、会場となるアトランタのピッチで彼らはどのような新たな歴史を刻むのだろうか。因縁のホイッスルは、まもなく鳴り響く。

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