ベルギー代表、終わった「黄金世代」 FIFAランク最高1位も…届かなかったタイトル

「黄金世代」が活躍した後には、多くの場合低迷期が待っている
ベルギーの「黄金世代(golden generation)」が終わった。GKティボー・クルトワ、MFケヴィン・デ・ブライネ、FWロメル・ルカクらを擁して今大会も勝ち進んできたが、準々決勝でスペインに終了間際の失点で1-2と惜敗。今大会でもタイトルには届かなかった。
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この世代の挑戦は2014年ブラジル大会で始まった。20代前半の彼らを中心に3大会ぶりに本大会に出場し、ベスト8入り。2015年にはFIFAランキングで初の1位になり、2018年ロシア大会では日本に0-2から逆転勝ちし、ブラジルにも勝って3位。この間には、FIFAランキングでも初の1位に立っている。
しかし、期待された2022年カタール大会は1次リーグ敗退。チームの柱でもあったFWエデン・アザールが引退し、残ったデ・ブライネらで臨んだ今大会もベスト8止まりだった。MFジェレミー・ドクら若手も育ってはいるが、1つの時代は終焉。「黄金世代」が活躍した後には、多くの場合低迷期が待っている。
以前にも黄金時代はあった。ベルギーの至宝と呼ばれた天才MFエンツォ・シーフォを中心に1986年メキシコ大会でベスト4入り。しかし、その後は低迷し。FIFAランクも70位代まで下がった。W杯の歴史を見ると、安定して上位にいるのはブラジルやドイツなど一部だけ。ほとんどのチームは浮き沈みを繰り返している。
フランスは80年代のMFミシェル・プラティニ時代、90~00年代のジダン時代を経て、今はFWキリアン・エンバペ時代が到来している。イングランドは1966年の地元大会で優勝を果たして以来低迷していたが、MFポール・ガスコイン、FWゲーリー・リネカーらで1990年イタリア大会ベスト4。その後再び低迷したが、FWハリー・ケインの登場で2018年大会で準決勝に進出した。
アルゼンチンも80年代にMFディエゴ・マラドーナが活躍した後低迷、FWリオネル・メッシの登場で再び優勝を争うようになった。「クラブは強くても代表は勝てない」と言われ続けてきたスペインは、2010年南アフリカ大会で初優勝。もっとも、その後は再び決勝トーナメントで勝てずに今回は4大会ぶりのベスト8進出だった。
黄金世代で世界的に有名なのは、1989、91年のU-20W杯を連覇したポルトガル。MFルイス・フィーゴ、MFマヌエル・ルイ・コスタら中盤に数多くのタレントを擁したが生粋のストライカー不在で、主要大会の優勝には届かなかった。FWクリスティアーノ・ロナウドが登場したのは世代終盤。もし、10年早ければW杯優勝があったかもしれない。
黄金世代の多くは1人のスーパースターが現われ、同世代に優秀な選手が集まる、という図式だろう。年齢の近い選手同士が切磋琢磨するから、その世代が「黄金」になる。若いころから代表の主力に並ぶから、次の世代は育ちにくくなる。「世代交代」も進まない。
世代交代は、どの代表チームも抱えている悩みだ。次から次へとタレントが現われることから「世代交代がないのはブラジルだけ」という言葉もあるが、ここ数大会の低迷ぶりを見ればFWネイマールの「次世代」に課題があることも間違いない。
日本にも「黄金世代」はあった。1999年U-20W杯で準優勝したMF小野伸二、MF稲本潤一、MF中田浩二らの世代だ。彼らは、その後のW杯でも活躍。長く日本代表を引っ張ったから、その後の世代交代が不安視されたことも確かだ。
ただ、日本の場合は「黄金世代」後もW杯に出続けている。本大会でもコンスタントに決勝トーナメントに進出している。あまり「世代交代」が叫ばれることもない。W杯上位を争う国とは状況が違うとはいえ、アジア勢の中でも安定した成績を残しているのは間違いない。
若い世代が次々と出てくるのは、育成年代の強化が成功しているからだろうか。代表の活躍やJリーグの盛り上がりで、サッカー選手を目指す子どもたちが多いことも見逃せない。「黄金世代」は夢があっていいけれど、代表が高いレベルを保つことこそが重要だ。
クルトワは「ベルギーは終わらない。若い選手が育っている」とFIFAのインタビューに答えていた。2000年代に入ってからの育成システムの整備が代表強化につながった同国。代表が継続的に強くあるためには、スーパースターの登場を待つだけではなく地道な育成が重要だということだろう。
(荻島弘一/ Hirokazu Ogishima)
荻島弘一
おぎしま・ひろかず/1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者として五輪競技を担当。サッカーは日本リーグ時代からJリーグ発足、日本代表などを取材する。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰。20年に同新聞社を退社。




















