“期待外れ”のレッテルを貼られたストライカー、エース頂上決戦の主役に躍り出る

「彼が血のにじむような努力をしてきた証だ」

「彼は常にトレーニングを頑張っていた。足の打撲でスパイクが履けない時もあった。このゴールは、彼が血のにじむような努力をしてきた証だ。彼は勝負を決めるゴールを奪う選手にふさわしかった」

 アシスタント・コーチを務めるコリン・パスコー氏は、リバプールの公式サイトの中でリーグ戦初ゴールを決めた24歳の青年に対し、賛辞を惜しまなかった。

 加入当初、流動性が全くといっていいほど皆無で、「オン・ザ・ボール」でしか試合に絡むことができなかった。しかし、この決勝点は、半年前の彼にはなし得なかった「オフ・ザ・ボール」の動き出しから生まれたゴールだった。彼の努力が報われた瞬間だった。

「グレートな試合だった。でも、今夜はもう過去のことだ。これからもハードワークを続けていくよ」

 試合後に笑顔でそう口にした男にとって、この半年間は挫折と苦悩の連続だった。しかし、どん底を味わったからこそ、見えた景色もあった。勝ち越しゴールにも決して慢心を見せなかったストライカーは、静かな闘志を燃やし、巻き返しを誓う。試合終了後もチャントが絶えることのなかった、この日の主役、「バロテッリ」の名を再びアンフィールドで聴くために。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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