痛恨の黒星「チャンスをピンチにした」 入れ替えで露呈した課題…元主将の危機感「意味がない」

狩野倫久監督体制のなでしこジャパン【写真:森田直樹/アフロスポーツ】
狩野倫久監督体制のなでしこジャパン【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

南アフリカに無得点 世界一を知る唯一の選手が語る課題

 なでしこジャパン(日本女子代表)は、6月9日にJ-GREEN堺で南アフリカ代表と練習試合を行い、0-1で敗れた。5-0と大勝した9日の同代表との国際親善試合とは対照的な結果となり、5月に就任した狩野倫久監督にとっては厳しい現実を突きつけられる形となった。

【PR】DAZNを半額で視聴可能な学生向け「ABEMA de DAZN 学割プラン」が新登場!

 狩野監督が掲げる目標は、1年後に迫ったブラジルワールドカップ(W杯)での「世界一奪還」。そのロードマップを逆算する上で、今回の南アフリカ代表との連戦は単なる「結果」以上の意味を持つ。中2日での試合となったこの日はスタメンを10人入れ替え、DF竹重杏歌理やMF伊東珠梨ら初招集組を先発に起用。しかし、そこで新指揮官が目の当たりにしたのは、目指す理想と現実のギャップだった。

 第1戦の勝因について「自分たちが主導権を持ってボールを展開し、相手にインテンシティを出させないこと」と語っていた狩野監督。そうした立ち回りは、この日の序盤にも見られた。

 立ち上がりからMF清家貴子が積極的にゴールを狙うなど、なでしこジャパンは幾度となくチャンスを創出。しかし、前半9分に一瞬の隙を突かれる。ゴールに向かってくるCKのボールをGK平尾知佳がパンチングにいったが、手前に入ってきた南アフリカMFリンダ・モトルハロに頭で合わせられ失点。指揮官が警戒していた「相手のインテンシティ」を、一瞬のセットプレーから引き出されてしまった。

 先制を許したなでしこは反撃を試みるものの、焦りからか、ビルドアップや局面でのパスミスを連発。相手をいなす冷静さや巧みさを欠いた。後半に入り、MF長谷川唯、MF宮澤ひなた、DF清水梨紗、古賀塔子といった主力を次々と投入したものの、相手GKの好セーブもあって最後までゴールは遠く、敗戦のホイッスルを聞くこととなった。

 これを受け、現在のなでしこジャパンの中で唯一2011年の世界一を知るDF熊谷紗希は、試合後のフラッシュインタビューで課題を口にした。

「引いて守ってくる相手に対して、どうシュートまで持っていくか。そして、1つ、2つのチャンスをピンチにしてしまったことはすごく大きな課題」

 厳しい表情での言葉はさらに続く。

「チームの奪い方や方向性を、もっともっと前半から声で引っ張って、やるべきことを明確にできたらよかった。結果をしっかり受け止めて、チームとしての方向性をここから積み上げていかないと意味がない」

 3日前の第1戦で狩野監督が求めていた「個々のストロングポイントの融合」や「ダイナミックなアクション」は、メンバーが大幅に変わった第2戦では影を潜めた。

 しかし、これこそが「世界一奪還」に向けたリアルな試練と言える。W杯本番でも、体力の温存や戦術面からグループステージでのターンオーバーは想定される。

 どのような状況下でも、自分たちの求めるサッカーを体現できるようになるためのタイムリミットは1年だ。南アフリカとの2連戦は、再び世界の頂点を目指すなでしこジャパンにとって、気付きの多いスタートとなった。

(砂坂美紀 / Miki Sunasaka)



page 1/1

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング