W杯得点王“本命”ムバッペ、続くのは? 識者注目の有力候補「ハイレベルな戦い」

W杯得点王争いを読み解く
北中米ワールドカップの得点王争いは、過去の大会実績と現在の得点力の両面から見ても近年まれに見るハイレベルな戦いとなりそうだ。最有力候補に挙げられるのはキリアン・ムバッペ(フランス/レアル・マドリード)である。2018年ロシア大会で4得点を挙げて世界制覇に貢献すると、2022年カタール大会では決勝戦のハットトリックを含む8得点でゴールデンブーツを獲得した。
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すでにワールドカップ通算12得点を記録しており、フランスが優勝候補の一角であることを考えても、今大会でも最も得点王に近い存在と言えるだろう。対抗馬として注目されるのがハリー・ケイン(イングランド/バイエルン) だ。2018年大会では6得点で得点王に輝き、2022年大会は2得点に終わったものの、2025-26シーズンのブンデスリーガでは36得点を量産。PKを任される絶対的エースであり、優勝候補のイングランドが勝ち進めば再びゴールデンブーツ争いの中心に立つ可能性が高い。
特注の存在として挙げたいのが、W杯初舞台となるアーリング・ハーランド(ノルウェー/マンチェスター・シティ)。プレミアリーグで27得点を記録し、欧州予選でも16得点を荒稼ぎした世界最高峰のストライカーは一気に得点王へ駆け上がるだけの爆発力を持つ。ノルウェーは伝統的な強豪国ではないが、攻撃のほぼすべてがハーランドを中心に構築されるため、得点が集中する点は大きな強み。北欧の雄がどこまで勝ち上がれるかで、変わってくる。
有力候補には当然アルゼンチンのリオネル・メッシ(アルゼンチン/インテル・マイアミ)も入る。2022年大会では7得点を挙げて悲願の優勝を成し遂げ、5大会通算13得点は現役選手最多クラスの実績である。南米予選でも8得点を記録しており、年齢を重ねても得点感覚は健在だ。これまでのような獅子奮迅の働きは難しいかもしれないが、頼もしい仲間たちの助けを得て、得点王争いに顔を出してくる可能性は高い。
同じく有力候補として見逃せないのがポルトガルのクリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル/アル・ナスル)。過去5度の挑戦で通算8得点と意外に多くはないが、2018年大会では4得点を挙げた。ゴール前での勝負強さは依然として高く、特にグループリーグのコンゴ民主共和国、ウズベキスタンなどを相手に、ポルトガルの豊富なタレント陣がチャンスを供給できれば、ゴール固め取りの可能性もある。
ブラジル勢では ヴィニシウス・ジュニオール(ブラジル/レアル・マドリード)が注目されるが、カルロ・アンチェロッティ監督の起用法次第では25-26プレミアリーグ22得点の大型FWのイゴーリ・チアゴ(ブレントフォード)にもチャンスがある。前線の軸として定着できるかどうかが鍵だ。ヴィニシウスは南米予選で2得点と数字自体は目立たないが、得点力はあり、ブラジルが好調なら爆発する可能性を秘める。
ダークホースの一人はルイス・ディアス(コロンビア/バイエルン)。南米予選7得点、リーグ戦15得点という説得力のある数字に加えて、個人で局面を打開できる能力を持つ。ハメス・ロドリゲス(ミネソタ・ユナイテッド)など、アタッカーにコロンビアの躍進とともに得点ランキング上位へ浮上する可能性がある。
アントワーヌ・セメンヨ(ガーナ/マンチェスター・シティ)はハーランドの相棒的な存在だが、プレミアリーグで18得点を記録しており、大会序盤で一気に数字を伸ばすことも考えられる。ツボにハマったら固め取りもできるタイプだけに、ガーナがラウンド16あたりまで勝ち進めば面白い。
大穴として挙げたいのがモハメド・サラー(エジプト/ リバプール)だ。リバプール退団は確定しているが、アフリカ予選で9得点を挙げており、決定力はまだまだ健在。エジプトが勝ち進むことができれば、得点王争いに割って入る可能性は十分ある。ヴィクトル・ギョケレシュ(スウェーデン/アーセナル)も侮れない。2025-26シーズンはリーグ戦14得点。欧州予選のプレーオフ2試合で4得点を挙げる勝負強さを見せた。アレクサンダー・イサク(リバプール)との共存も注目されるが、スウェーデンの躍進はギョケレシュのゴール量産とイコールかもしれない。
48か国制となった今大会は従来より試合数が増え、優勝候補国のエースには得点を積み上げる機会も増える。過去2大会で計12得点を記録したエンバペが正真正銘のスコアラーとしてW杯に歴史を残すのか、それともケインやハーランドがその座を奪うのか。あるいはW杯6回目となるメッシやロナウドがキャリアの集大成で輝くのか。意外な伏兵が台頭する可能性も含めて、チームのパフォーマンスに合わせて注目していきたいテーマだ。
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)

河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

















