田中碧、輪島塗すね当てでW杯へ 被災地への思い胸に「ピッチ上で表現したい」

事前キャンプを行っている田中碧【写真:FOOTBALL ZONE編集部
事前キャンプを行っている田中碧【写真:FOOTBALL ZONE編集部

田中碧はW杯で輪島塗のすね当てを着用

 北中米ワールドカップ(W杯)に向けてメキシコ・モンテレイで事前キャンプを行っている日本代表は現地時間6月5日、練習を実施した。練習後に取材に応じたMF田中碧は、能登半島地震で被災した輪島市の職人と共同制作したすね当てをW杯に持参したことを明かし、「少しでも笑顔になってくれたら」と被災地への思いを語った。

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 田中がこのすね当てと出会ったのは、被災地への訪問がきっかけだった。2年間で2度、輪島市を訪れた田中は、職人とともに被災した作品の運び出しや片付け作業を手伝ったという。その縁から生まれたのが、輪島塗によるすね当て制作というアイデアだった。

「『一緒に何かやりたいですよね』という話になった。(デザインは)自分っぽく寄せるならば背番号や名前でもいいかなと思ったんですけど、せっかくだから模様が特徴であるし、八咫烏とか、そういうのがいいと思って決めました」

 片方には日本サッカー協会のシンボルである八咫烏、もう片方にはフェニックス。二つの絵柄にはそれぞれの意味が込められている。フェニックスは田中と職人が話し合って決めた。「一緒に飛んでいくというか、強く高く飛んでいくというので(決めた)」。被災地とともに前へ進むという思いが、その絵柄に重なった。

 完成までに約1年。湾曲したすね当ての表面に、想像を超える精度で描かれた細密な模様を見た田中は「想像のはるか上を行く技術で、本当に綺麗にやっていただいた」と目を丸くした。受け取ったのは5月。そのままW杯の地に持ち込んだ。

「応援してもらえているというのも聞きますし、何か自分が少しでもできたらいいなと。こうやって形になったのは嬉しいですし、それをまた自分はピッチでしっかりと表現して恩返ししたいです」

 ピッチ上での恩返しへの思いは切実だ。被災地の子どもたちや家族の姿が、田中の脳裏に焼き付いている。「表面的にはすごく笑顔ですけど、その心の奥底にはすごくいろいろな体験をしているところもある。それでも前を向こうと歩んでいる」。その姿を見続けてきたからこそ、W杯での戦いに込める思いは人一倍強いのだ。

「やはり自分たちが一生懸命戦って、勇気というか、そういうものを受け取ってもらえたらなと思います。日本人として世界と戦う姿勢というものは誇りに思うべきことなので、ピッチ上で表現したいと思います」

 輪島塗のすね当てが、W杯での“デビュー戦”を待っている。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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