英代表FWを完封も「まだやれた」 アジアで示した「6/6」「40/50」…悔し涙は「小学生以来です」

町田の岡村大八「逆に僕があそこまでできたからこそ、出てきた涙だと思います」
FC町田ゼルビアは、AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)で初出場ながら準優勝という好成績を残した。サウジアラビアで行われた決勝では延長戦の末に敗れて悔し涙を流したが、中東の地で残したのは特大のインパクト。なかでもDF岡村大八の好スタッツは、アジアサッカー連盟の公式サイトでも紹介された。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大/全4回の2回目)
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「いやいや、もっと負けていると思っていましたよ。まだまだやれたのではないかと、個人的には思っています」
帰国後に行われた鹿島アントラーズとの試合後、ACLEでの好スタッツについて聞くと、このような答えが返ってきた。デュエル勝率100%(6/6)、パス成功率80%(40/50)。現役のイングランド代表やブラジル代表に選ばれた選手もいる相手に記録した数字だが、岡村本人は意外にも冷静に分析しているのだ。
「審判がけっこう流すタイプの人だったので、そういった笛も含めて。普段だったらJリーグでファウルになるようなところも、あまりファウルにならずにボールを奪い取れたのはあると思っています。なかなか吹かないレフェリーが多かったので、そういった意味で僕との相性が良かったのかなと感じました」
アル・イテハド(サウジアラビア)とアル・アハリ(UAE)を倒して迎えたアル・アハリ(サウジアラビア)との決勝。会場のキング・アブドゥッラー・スポーツシティは相手本拠地ということもあり、日本代表などでの経験も豊富なGK谷晃生が「国際大会よりも雰囲気はすごかった」と驚くほどだったという。
「あれだけアウェーのなかで試合する経験は僕の人生で無かったので、スタジアムに入った瞬間に笑っちゃうくらい異様な雰囲気。ペットボトルは飛んでくるわ、発煙筒は焚かれるわ、Jリーグでは絶対に無い光景でした。あれを経験できたのは、一人の人間としてもサッカー選手としても良かったと思います」
約6万人の大観衆のなかでも、緊張しなかったという岡村。「割と僕は冷静でしたね。もうやるしかない、という感覚でした」。中東の笛もうまく味方につけながら、「相手を苛立たせることもできたし、うまくボールを奪えるシーンもあったので、自分通りのプレーはできたのかなと思いますね」と躍動した。
マッチアップしたのは、2024年8月にプレミアリーグからサウジアラビアへとやってきたFWイヴァン・トニー。北中米ワールドカップに臨むイングランド代表にも選出された超大物に仕事をさせなかった。「それなら俺も日本代表に選ばれてもおかしくない!」と笑った岡村だが、決して夢物語ではないはずだ。
「サウジリーグからイングランド代表に入るのは初めて、というのは僕も見ました。ワールドカップに出る選手とマッチアップしたということは、自分にもそういう大会に出られる確率があったということだと思いますし、そういった選手を抑えられた自信を持って、やっていかなければいけないなと思います」
試合前の段階では、そんな経歴の相手とは知らずにマッチアップしていたという岡村。「プレミアリーグだろうがなんだろうが、みんな人間なんだなとは思いましたよ。瞬間的に移動できるわけでもない」。2019年にJFLでプレーしていた選手が、7年後にはイングランド代表を完封するところまで辿り着いた。
「今JFLやJ3で上のリーグに行きたくても行けない選手が、僕の姿を見て、2年後、3年後、5年後、世界の相手と戦えるということを、この大会を通じて伝えられればと思います。僕だけではなくて安藤(智哉)くんだったりとか、J3でやっていた選手も日本代表に入っているので、僕も負けられないと思います」
個人としてのパフォーマンスには称賛の声が寄せられる一方、当の本人にはほろ苦い思い出だけが残った。「やっぱり優勝できなかったので、それが何よりも悔やまれますね。正直、個人のパフォーマンスよりもチームの優勝のことを考えていたので」。試合終了のホイッスルを聞くと、涙が止まらなくなった。
「悔し涙ですよ。もう本当に。逆に僕があそこまでできたからこそ、出てきた涙だと思います。逆にあれが0-3、0-5、個人の勝率としても全然勝てていなかったとしたら、逆に悔しさも残らないゲームだった。それだったら逆に、涙を流さなかったと思います。自然と出てきました。小学生以来じゃないですか」
トニーのほかにもブラジル代表のDFロジェール・イバニェス、コートジボワール代表のMFフランク・ケシエ、アルジェリア代表のMFリヤ・マフレズらを擁するアル・アハリに、互角以上の好勝負を演じた町田。後半23分には相手に退場者が出たことで数的有利に立ったが、延長前半6分に決勝ゴールを許した。
「自分としてはある程度やれたという体感があったなかで、1人が退場してもなお崩せなかった自分たちの力不足。相手を抑えることができたけど、最終的には失点をしてしまったという悔しさ。そういうところを含めて、ここまでやってきて、あと一歩のところまで行ったのに、何が足りなかったのかな、と」
この悔しさを晴らすために、もう1度この舞台に戻ってくるしかない。昨年の天皇杯を制した町田は、来季のAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)へのダイレクトでの出場が決定。ここで優勝すれば、ACLEへの切符を獲得する。さらなる成長を遂げた岡村が、Jリーグ、そしてACL2で躍動し、忘れ物を取りに行く。
(FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo)


















