最後の使命は「お前が決めて勝たせてくれ」 名門去る熱血コーチへ26歳MFが誓う恩返し「やるしかない」

浦和でフィジカルコーチを務めるヴォイチェフ・イグナチュク氏【写真:轡田哲朗】
浦和でフィジカルコーチを務めるヴォイチェフ・イグナチュク氏【写真:轡田哲朗】

浦和のフィジカルコーチを務めたイグナチュク氏は6日の岡山戦がラストマッチ

 浦和レッズのフィジカルコーチを務めるヴォイチェフ・イグナチュク氏は、百年構想リーグを終えた時点で退任することが発表されている。3年半の在籍期間、「テック」の愛称で親しまれた熱い指導者には、選手からも惜別の言葉があった。

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 浦和が2023年にマチェイ・スコルジャ監督を招聘した際、コーチングスタッフの1人として監督と同じ母国ポーランドからやってきたのがイグナチュクコーチだった。当初の表記が「ヴォイテク」だったこともあってか、自然とチーム内では「テック」の愛称が定着した。練習の際など「カモン、ウォリアーズ!」と号令をかけ、時に発破もかけながら、フィジカル部門でチームのトレーニングを主導する姿があった。

 スコルジャ監督が1年で退任した際もチームに残り、約3年半を浦和で過ごした。居残り練習などで触れ合う機会の多かったMF早川隼平は「自分が英語でコミュニケーションを取るっていうところで、テックも試行錯誤しながら、分かりやすい英語とかで通訳を挟まずにやってくれたっていうのは、自分としては大きかったかなとは思います。自分たちの置かれてる立場とかも理解しながら、いろんな選手に接してくれたり、パッションがあって常に元気でやってくれるのは、一人の選手としてもチームとしてもありがたいですね」と感謝を示した。

 そのパッションを象徴した場面の一つが、就任から間もない2023年3月11日のJ1リーグ第4節でヴィッセル神戸と対戦したゲームだろう。敵地に乗り込んだゲームの前半を1-0で折り返したハーフタイム明け、タッチライン際で後半のピッチに向かう選手たちを鼓舞しながらステップワークの指示を出していたコーチは、当然のようにピッチに入っていって円陣に加わった。選手たちも驚いたような顔をしつつ気合を入れたが、西村雄一主審に注意されてピッチから出ていった。

 行動そのものは良いものではなかったし、その後はっきりと注意も受けたことが明らかになったが、当時のゲームに出場していた26歳のMF安居海渡は「声をかけるだけでなくて、自分も戦っているんだというのもあるんだと思います。そういうのは、日本人の中にはいないっていう感じはありますね。だって、普通にピッチに入ってきてるんで。もう、本当にありえないじゃないですか」と笑った。それでも「こっちとしては一緒に戦ってる感がやっぱり出るんで、モチベーションを大きく変えてくれる人ですね」と、その存在の大きさについて語った。

 浦和は6月6日に百年構想リーグの順位決定プレーオフで、ファジアーノ岡山との第2戦に臨む。熱くチームを鼓舞し続けたポーランド人コーチにとって、これが浦和でのラストゲームになる。

 2023年にシーズン最初の勝利を挙げたのは第3節のセレッソ大阪戦で、その時に決勝ゴールを決めたのが安居だった。安居は「自分が来て最初に勝った時に僕が決めて、その時の写真とかをSNSにも上げたんだから、最後に出ていく時もお前が決めて勝たせてくれと言われました」と、熱いメッセージを託されたという。正確かつ強烈なミドルシュートが持ち味のボランチは「そうさせたいなと思っています。やるしかないですよね」と、惜別の一撃を決めることを誓っていた。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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