過酷だった716日「いい面も悪い面も」 冨安健洋の苦悩…覚悟の2度目W杯「何も考えず無の状態で」

2年ぶりに日本代表へ合流
日本代表DF冨安健洋が帰ってきた。5月28日、千葉県内で同31日アイスランド戦(国立)に向けたトレーニングに合流。24年6月以来、約2年ぶりの日本代表復帰を果たした。度重なる負傷、長い長いリハビリ期間を経て北中米ワールドカップ(W杯)メンバー入りを果たした27歳。その「長い道のり」はキャリアのなかでもあまりにも過酷なものだった。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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「W杯のメンバーに入るまでに本当にいろんなことがあった」
緑のピッチ、照りつける太陽。蒸し暑い環境でさえも心地よい。716日ぶりとなった日本代表の練習。「練習前はちょっとそわそわしていた」。合流初日、DF吉田麻也らとコンビを組んだゲーム形式までフルメニューを消化。最後方から声を出し、士気を高めた。
「彼(冨安)の能力はご存知の通り。一番は怪我をしないことなので、冨安もコンディションが良いと言っている時が一番気をつけないと。まだまだ時間があるので焦らずにコンディションをベストに持って行って欲しい。彼がいるといないとでは後ろの戦力が大きく変わってくると思う」(吉田)
2023年、右膝の手術を受けた。W杯まであと3年。森保ジャパンの絶対的な存在として、期待を背負った。敵地で行った23年9月の国際親善試合ドイツ戦(4-1)では、冨安が森保一監督に直談判して4バックから3バックに変更。指揮官と思惑が一致したことから、採用されてカタールW杯に続いての“連勝”に貢献した。24年1月のアジア杯でもコンディションを調整しながら4試合に出場。ただベスト8に終わったチームに「熱量を感じられなかった」と喝を入れ、その後のアジア予選での立て直しに繋げた。
ただ自身は苦しんだ。24年6月を最後に代表からは遠ざかり、度重なる負傷でリハビリを強いられた。同年10月に復帰したものの、25年2月に再手術。その後は長期離脱となり、昨年7月にイングランド1部アーセナルを退団。フリーで復帰に向けて調整を続け、昨年末にはオランダの名門アヤックスへ電撃加入した。今年2月のエクセルシオール戦で484日ぶりの実戦復帰。1日、1日があまりにも重く、長かった。
「長い道のりだったなというところは間違いなくあって。いろんな経験やいろんな感情を経験することができた。良くも悪くも、いい面も悪い面も。この期間がいい期間だったかというのは後からわかってくる。ここからだと思います」
上がっても上がっても頂上が見えない。チームもアジア最終予選から3バックに変更し、2年間で戦い方も変わった。自身が合流して目指すは世界相手への1勝だ。「W杯を勝つ上での戦い方という言い方をさせてもらいますけど、3枚だから守備的だとも思わないし、フォーメーション関係なく、共通の意識が統一されていればいい」。カタールに続く2度目のW杯。出場した3試合では「楽しさ」を感じることができなかった。
「前回は正直終わった後に『楽しかった』と思わなかった。今回はそう言える大会にできたら。(カタールW杯は)気を使いすぎてたというか、没頭しきれなかった部分もあった。言いたいことは言って、特に何も考えず無の状態でいられるような大会にしたい」
森保監督からの信頼は絶大。選出した理由も先発したフェイエノールト戦で「彼が見せてくれていたパフォーマンスは、本当に素晴らしいプレーだった。基準という意味ではW杯基準というものを再確認させてもらった」とし、「準備もできながらコンディション上げていけるということで選ばせてもらいました」と、欠かせないピースとして期待を寄せた。
浮き沈みある日々を抜け出し、また勝負の日々を送る。ピッチで示す覚悟。世界を倒すため、冨安の新たな旅が始まる。
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)




















