日本代表、次期監督は外国人? 識者が考察する候補…森保一監督を唯一上回る人物とは

日本代表、次期監督の適任とは【写真:徳原隆元】
日本代表、次期監督の適任とは【写真:徳原隆元】

ケヴィン・マスカット監督だけが森保監督を勝率でも敗戦率でも上回っている

 次期日本代表監督を考えるときに、「やはり外国人監督のほうがいいのではないか」という意見があるようだ。サッカーの主流がヨーロッパにあるから、ヨーロッパ生まれの人材のほうがサッカーのトレンドを取り入れやすいのではないか。現地とのコミュニケーションも取りやすいはず。試合も組みやすいのではないか。歴史の重さはまだまだ向こうが上――。

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 確かにそういう面もあるだろう。一方でいくつか気になる点がある。それは「日本人」というものを理解しているかどうか。文化的な相互理解がなければ必要のない軋轢を生む。その意味では日本を理解している監督、日本で指揮したことのある監督を候補にしたほうがいいだろう。

 また、監督の年齢についても考えておいたほうがいいのではないだろうか。森保一監督が2期つとめたことは大きなメリットがあった。2022年カタール・ワールドカップからシームレスな形で次のチームを作ることができたのだ。同じような成功を収めれば当然次も2期連続で監督を依頼することにもなるはず。そんなときに年齢が高ければ、どうしても健康問題が出てきてしまう。

 以上の条件を考えて、これまでJリーグで指揮を執ったことがある外国人監督で誰が候補になるかを考えてみた。過去Jクラブの監督を務めたことがある人物は全部で157人いる。そのなかで、森保監督と同年生まれかそれよりも若い監督が誰なのか調べてみた。

 森保監督は1968年8月23日生まれの57歳。そこで1968年以降の外国人監督を抽出すると全部で31人だった。そして、このなかでJ1クラブの指揮を執ったことがある人材を調べると22人となった。

 現在行われているのは「百年構想リーグ」という特別大会で、過去のリーグ戦の成績に加算されない。そのため2025年までの成績になるのだが、もっとも多くの試合で指揮を執った監督は、チョウ・キジェ監督(韓国)で308試合。続いてユン・ジョンファン監督(韓国)の154試合。

 他にはダニエル・ポヤトス監督(スペイン)が148試合、キム・ミョンヒ監督(韓国)が139試合、リカルド・ロドリゲス監督(スペイン)が110試合で、100試合を超えている監督はこの5人だけとなる。

 では勝率はどうか。勝利試合数を指揮した全試合数で割って勝率を計算すると、トップはケヴィン・マスカット監督(オーストラリア)の57.0%、次はアジウソン監督(ブラジル)の51.1%、ザーゴ監督(ブラジル)の47.6%、ユン・ジョンファン監督の46.8%、ジョン・ハッチソン監督(オーストラリア)の46.7%、レネ・ヴァイラー監督(スイス)45.8%、リカルド・ロドリゲス監督44.5%、マチェイ・スコルジャ監督(ポーランド)の41.5%と続き、他の監督は40%以下となる。

「負けない」ということを考え、敗戦試合数を全試合数で割った敗戦率で見ると、最も低かったのはケヴィン・マスカット監督22.1%、次はリカルド・ロドリゲス監督で22.7%、レネ・ヴァイラー監督25.0%、マチェイ・スコルジャ監督28.0%で他の監督は30%を超えている。

 では、これらの監督を森保監督の成績と比べてみよう。森保監督は187試合で指揮し、92勝40分55敗だった。勝率は49.2%、敗戦率は29.4%になる。

 まず森保監督よりも多くの試合を指揮したのはチョウ・キジェ監督だけだ。森保監督を勝率で上回ったのはケヴィン・マスカット監督、アジウソン監督の2人。ちなみにケヴィン・マスカット監督は86試合、アジウソン監督は47試合を指揮した。敗戦率ではケヴィン・マスカット監督、リカルド・ロドリゲス監督、レネ・ヴァイラー監督、マチェイ・スコルジャ監督が上回っている。

 こうして考えると、ケヴィン・マスカット監督だけが森保監督を勝率でも敗戦率でも上回っている。2021年から2023年まで横浜F・マリノスを指揮した間に優勝1回、2位2回という成績も収めた。

 現役時代はラフプレーの多さが目立ったが、横浜FMを率いていたときのリーグ戦のイエローカードは2023年の1枚だけ。現在は中国スーパーリーグのなかでも資金に恵まれた上海海港を率いていて、2024年、2025年と連覇を果たした。

 数字を見る限りではケヴィン・マスカット監督しか条件を満たさない。問題は日本に3年しかいなかったため、日本代表の多くの選手がこれまでの視野外ではないかということだ。

 これはアンダーカテゴリーから五輪監督まで兼任し、よく知る選手を多く起用できた森保監督に比べるとマイナス要素だろう。また、森保監督のリーグ優勝3回、日本代表監督として勝率約70%という頭抜けた成績を超えられるだろうかという判断もなされなければならない。

 そしてその「日本人選手をよく知っている」「日本をよく知る」という点を考えると、本当に外国人監督がいいのかという根本的な問題を考えなければならない。日本人監督のほうがいいのではないか、森保監督のほうがいいのではないか、など、今はいろいろな根拠を元に議論を広め、そして深めるべきときだ。

(森雅史 / Masafumi Mori)



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森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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