緊急出場の22歳…冷静パスは「優しく落とせた」 急遽プロデビュー「最初はびっくり」

浦和の植木颯「最初はびっくりしたんですけど、出るからには力になろうと」
浦和レッズの大卒ルーキーMF植木颯は、4月5日のJ1百年構想リーグ第9節の川崎フロンターレ戦でプロデビューを果たした。味方選手に負傷者が出た関係で前半15分からの出場というスクランブルになったが、一時チームが勝ち越すゴールを導くなど能力の高さも随所に見せた。
このゲームに向け浦和のマチェイ・スコルジャ監督は、3月のインターナショナル・マッチウィークの間に練習試合でのスタメンに組み込んだという植木について「次の川崎戦でメンバー入りすると言えます」と明言していた。実際には今季初のメンバー入りは果たすもベンチスタートだったが、その出番は思いもかけないタイミングで訪れた。
伏線はゲーム開始前にあり、ウォーミングアップ中の負傷によりスタメン予定だったDF宮本優太が出場できず、控えメンバーからDF根本健太が繰り上がった。そのため、センターバックがいないベンチ構成でゲームがスタートした。そして前半10分過ぎ、セットプレーの攻撃に参加したDFダニーロ・ボザが左足を痛めてピッチに倒れ込んだ。チームドクターから「×」のサインが出て、指揮官はボランチからMF柴戸海を最終ラインに下げることを選択。そこで、植木を交代でボランチに送り込んで前半15分のプロデビューになった。
植木は「最初はびっくりしたんですけど、出るからにはしっかりチームの力になろうと思って、今持てる自分の最大限を出そうと思ってピッチに立ちました」と話す。左のボランチに入ると、前半はなかなか有効なボールへの関わりが少なかったが、ハーフタイムに整理されたチームの中で後半に入ると存在感を出した。
後半2分にはビルドアップに良い形で関わって左サイドへ展開。そこからゴール前に走り込むとこぼれ球に反応してシュートも放った。ここからMF金子拓郎が押し込んだが、FWオナイウ阿道にオフサイドの反則があったとしてゴールは取り消された。それでも後半11分、カウンターの局面で植木は左サイドを一気に駆け上がる。オナイウのパスを受けると中央にラストパスを送り、そこに合わせようとしたオナイウのシュートが流れたところを金子が押し込んで、一時は2-1とチームが勝ち越すゴールにつなげた。
このラストパスについて植木は「奥にいた(金子)拓郎くんが見えたんですけど、そこには相手がしっかりマークについていて、相手もまあまあな勢いで下がっていたので、阿道くんのところはマイナスが空いているなとボールの移動中に感じていたので、そこに優しく落とせたのかなと思います」と、冷静な判断をしながら送ったものだったと振り返った。
しかし、浦和はここから2点を奪われて2-3の逆転負けを喫してしまう。最後の最後、ゴール正面でフリーでのシュートを打たれた決勝点の場面について「脇坂選手のランニングに自分がついていて、ついていく前に近くの人にひと言、『締めておいて』と声が掛けられていれば、また結果が変わったのかなと思う。自分がついていくのはそうですし、周りの選手とコミュニケーションを取るべきだったのかなと、今は感じています」と、左サイドのカバーに出ていったことで中央が空いてしまった場面を悔しそうに振り返った。
日本大学から昨季中に浦和への加入が内定していて、特別指定登録もされた。昨季の第37節ファジアーノ岡山戦ではベンチ入りし、出場機会はなかったもののプロのピッチを目の当たりにした。その経験があるからこそ、プレシーズンのキャンプでも基準をしっかり持ってトレーニングができていると話していた。しかし、そのキャンプ中の負傷があり離脱してしまい、開幕を戦うチームには出遅れた。そのような形で少し時間は掛かったが、MFサミュエル・グスタフソンの離脱が長引く中でも浦和に欠けているプレーメーカータイプとして期待も大きい。
まずは激動のデビュー戦を終え、期待のレフティーがこの先も浦和に新たな要素を加えていけるのか注目される。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)






















