選手がベンチにアピール→PK獲得「確信あった」 国内でも待望論…アジアで導入された“FVS”が活躍

東京VベレーザがAWCL 準々決勝で快勝
日テレ・東京ヴェルディベレーザは3月28日にAFC女子チャンピオンズリーグ(AWCL)の準々決勝でスタリオン・ラグナ(フィリピン)と対戦して5-0の勝利を収めた。審判団の判定に対して映像確認を求めることができるフットボール・ビデオ・サポート(FVS)によりPKを獲得したMF猶本光は「確信があったので、めっちゃアピールしました」と話した。
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ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)導入に対するハード面やコストでのハードルの高さから、国際サッカー連盟(FIFA)がアンダー世代での国際大会などで導入しているFVSは、両チームが2回ずつ審判団の判定に映像確認を要求する権利を持ち、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が介入するのと同じ、得点や退場といった大きな判定に関わるものにのみ使用できる。ベンチから第4の審判員に専用のカードを手渡すことで、プレーが切れたタイミングで主審が当該場面の映像を確認する。
このゲームでは、後半15分にベレーザのMF塩越柚歩がペナルティーエリア内で倒されてPKの判定となったが、スタリオン・ラグナが映像確認を要求。その結果、正当なタックルだったとしてPKが取り消しになった。続く後半22分、ベレーザは猶本がペナルティーエリア内で倒されたがノーホイッスル。猶本はベンチに向けてFVSの使用をアピールし、ベレーザのベンチが映像確認を要求すると、ベレーザのPKに判定が変更になった。この制度では、この2回のように判定が変更になった場合は権利の回数は消費されない。
猶本は「今回に関しては確信があったので、めっちゃアピールしました」として、「2回しか使えないから、微妙なところではちょっと使いにくいですね。ベンチから見えないところでは、選手でアピールしてくれっていうのは言われていたので、今日は成功して良かったです」と笑った。
PKが取り消された塩越は「まさかの取り消しになってしまって」と苦笑いしたが、「自分たちの守備のところはしっかりクリーンにっていうところと、攻撃のところは良いチャレンジをしていけたら、光さんのPKみたいな形につながるのかなと思いました」との印象を話した。
また、猶本がPKを蹴り込んで3-0としたが、このタイミングでスタリオン・ラグナのベンチはPKを蹴る前にベレーザの選手がペナルティーエリア内に入っているのではないかとFVSを使用した。映像確認はすぐに終了してゴールが認められたが、3点差が付くと試合が決まるような場面だったこともあり、アーネスト・ニエラス監督は試合後の記者会見で「もし審判がイエスと言えばラッキーだろう?」という権利行使だったことも明かしている。
現状、日本国内ではJ1のみVARが採用されているが、J2やJ3、あるいはWEリーグでも待望論はある。一方でコストの大きさもありFVSは解決策の一つになり得る。日本サッカー協会(JFA)による昨年10月のレフェリーブリーフィングでFVSの話題になった際、扇谷健司審判委員長は「比較的に安価で人も多くかけずにできるという点で、トライアルを持ってFIFAがどう考えていくのかを見定める必要があると思う」としたうえで、「どうするかは今のところ言えないけど、リーグとも今後どうするかは考えないといけないと思う」と話していた。
一方で、他競技の「リクエスト制度」に近い性質のあるこのシステムについて「例えばバレーボールでは、最後にとりあえず1回使うようなことがあるのも目にする。また、時間稼ぎに使うようなことがあるかどうかの懸念もあるのかなと思う」と話していた。今回のPKが決まった後のFVS使用は、このような懸念に当てはまるものに近いだろう。
映像確認は介するものの全てが審判団の判定で解決するVARと、チーム側に判定への疑義を申し立てる権利を公式に認めるFVSでは根本的なルールの精神と呼ぶべきものも全く違うが、国際大会での採用例が増えてきている中で日本サッカーにも影響を与えることになるのか、今後が注目されるシステムだと言えそうだ。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



















