最終戦2日前に電撃引退…周囲も驚き「本当に?」 元日本代表が誰にも相談しなかった理由

鮫島彩さんが引退の理由やライフステージの変化について語った【写真:増田美咲】
鮫島彩さんが引退の理由やライフステージの変化について語った【写真:増田美咲】

30歳を超えてから「1年1年」の勝負 誰にも相談せず決めた引退

 2024年5月、惜しまれつつも現役引退した鮫島彩さん。なでしこジャパンの不動の左サイドバックとして2011年の女子ワールドカップ(W杯)優勝に貢献。持ち前のスピードと果敢な攻撃参加、無尽蔵のスタミナで活躍を続けてきた。36歳で引退を決めた理由やライフステージの変化について独占インタビューで語った。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・砂坂美紀/全4回の1回目)

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 W杯優勝の後は、フランスのモンペリエHSCやINAC神戸レオネッサなどでプレーし、いずれのクラブでも活躍をしてきた。2021年、WEリーグ初年度に大宮アルディージャVENTUS(現・RB大宮アルディージャWOMEN)へ加入すると、ピッチ内外でチームの牽引役を担った。

 現役最後のシーズンとなった2023-24のリーグ戦は全22試合中20試合にスタメン、フル出場を果たしていた。それだけに、最終戦2日前の引退発表は衝撃的だった。

 鮫島さんは「30歳を過ぎてからは、常に1年1年の勝負だと考えていました」と語る。決して体力的な衰えやサッカーから遠ざかりたいと思ったわけではなく、むしろ全力で取り組んできたからこそ感じた、決断だった。

「毎シーズン、来シーズンも頑張るぞという気持ちで決断してきましたが、ある時ふと『あ、今年のキャリアで終えていいかな』と思えたんです。何か決定的な事柄があったわけではなく、本当に『今だ』という感覚でした」

 驚くべきことに、この大きな決断を下す際、彼女は誰にも相談をしなかったという。自らの選択に迷いはなかった。

「周りからは『本当にやめるの?』と驚かれました(笑)。次のステップを具体的に決めてから引退するわけではなく、まさに『段差のないところに飛び降りる』ような感覚。でも、これまでのサッカー人生もそうやって“流れに乗って”生きてきたので、不安はありませんでした」

 彼女にとって「サッカー選手をやりきった」という確信に裏打ちされたものだった。

引退後は解説者やサッカーの普及活動に取り組んでいる鮫島さん【写真:増田美咲】
引退後は解説者やサッカーの普及活動に取り組んでいる鮫島さん【写真:増田美咲】

SNSでの「電撃発表」に秘められた意図

 2025年6月16日、鮫島彩さんは現役引退から約1年が経った自身の誕生日に、結婚と第一子出産をSNSで同時に報告をした。報告の数か月前に彼女の仕事の現場に立ち会ったことがあったが、真摯に取り組む姿が印象に残っているのみで、全く気がつかなかった。

「特に隠していたわけではないんです。聞かれた場合は、お答えもしていましたし。普段から、SNSを頻繁に更新するタイプでもないですし、私のプライベートにそこまで皆さん関心ないだろうなぁって(笑)。ただ、ずっと応援してくださっている方もいらっしゃいますし、しっかりとご報告したかったのもあり、誕生日のタイミングが一番自然かな、と考えて発表しました」

 結婚や出産といったライフステージの変化についても、彼女は自然体を貫いている。

「元々、絶対に家庭を持ちたい、子供が欲しいという強いこだわりがあったわけではありません。タイミングがあえばそれもいいし、独身でキャリアを積む人生も素敵だし。どちらの選択肢も自分の中に持っていました。結果として、引退後に結婚・出産となりましたが、それも一つのタイミングかなと」

 誰しもが直面する人生の岐路。鮫島さんはそれを“取捨選択”ではなく“タイミングの重なり”として捉えている。

「もし現役を続けていたら、結婚はまだ先だったかもしれません。でも、引退を決めたタイミングで、私生活の変化が合致した。プロ選手として全力で駆け抜けた後の新しい章として、この変化を純粋に楽しんでいます」

 引退後は解説者や講演会などに加えて、全国各地で開かれるサッカーの魅力を伝える普及活動にも精力的に取り組み、人生の変化をエンジョイしている。バランスを大切にしながら、鮫島さんは颯爽と新たなステージの“流れに乗って”いる。

(砂坂美紀 / Miki Sunasaka)



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