日本代表の将来を担う“規格外SB” 身長190cmの快足…転機となった「やってみるか?」

明治大学の小泉佳絃【写真:安藤隆人】
明治大学の小泉佳絃【写真:安藤隆人】

明治大の小泉佳絃「『できるのかな?』と思いながらプレーをしてみたら」

 3月1日に関東B選抜の優勝で閉幕したデンソーカップチャレンジ刈谷大会(通称・デンチャレ)。ここではデンチャレ本戦で目に留まった選手の物語を紹介していく。今回は4位でフィニッシュをしたU-20全日本学生選抜のCB小泉佳絃(明治大)について。身長190センチを誇る規格外サイドバックの成長譚だ。

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 190センチのサイズを生かした圧倒的な空中戦の強さを誇り、スピード、加速力、スプリント力という抜群の脚力を兼ね揃えたサイドバック。規格外という言葉とともに、日本の将来を担う人材としての大きなロマンが溢れる。

 今年1月のU23アジアカップにおいて、小泉は大型サイドバックとして選出されると、準決勝の韓国戦では値千金の決勝弾をマーク。決勝の中国戦でもスタメンでフル出場を果たしてクリーンシート。優勝に大きく貢献した。

 一気に脚光を浴びたが、サイドバックは本職ではなかった。青森山田高校では長身とビルドアップ能力を生かしたセンターバックで、選手権優勝メンバーという看板を提げて入学した明治大でもセンターバックとしてプレーしていた。だが、選手層の厚い明治ではなかなか試合に絡めずに苦しんでいると、昨年10月に大きな転機がやってきた。

「練習中にコーチから『サイドバックをやってみるか?』と言われて、正直驚きました。これまで一度もやったことがなかったので、『できるのかな?』と思いながらプレーをしてみたら、意外とできたというか、思い切って攻め上がれる分、自分の加速力とかスピードが引き出される感覚を覚えたんです」

 自分でも驚くほど、違和感なくプレーできた。そこから小泉はサイドバックとしての新境地を切り開いていった。

 このコンバートは決して予想外なことではなかった。高校時代からサイズの割にはスピードがあって、初速も早く、キックのスイングもシャープだった。それが証拠に青森山田のときはハイラインを敷いて、そのスピードを生かして裏へのカバーリングを武器にしていた。

 数値にもそれは明確に現れていて、GPS測定スプリントでもセンターバックのなかでは数値が高かった。初速や最高時速はもちろん、スプリント回数もセンターバックのなかでは高い数値を叩き出していた。

 こうした事実からサイドバックでスプリントとキックを発揮できる可能性があるとは十分に推測できた。そのタイミングが昨年10月だったということだ。

「サイドバックをやればやるほど、自分に合っていると言うか、スピードを縦のスペースだけでなく、ハーフスペースやプレスバックなどで生かせる手応えが増していきました。センターバックのときに『やってみたいな』と思っていた攻撃参加を存分にできるし、それをやればやるほど、新たな課題が出てくるので、それを含めて本当に楽しいなと思っています」

 前述した通り、U23アジアカップでもコンバート間もない選手とは思えない躍動を見せ、さらに自身の可能性の大きさを示した。デンチャレでは3バックの右センターバックとして、「攻撃時にはサイドハーフとなるイメージ」と攻撃に転じると、一気に高い位置を取って攻撃に厚みをもたらしていくプレーを披露した。

 順位は4位という形に終わったが、デンチャレでの小泉のプレーを見て、改めて攻撃的なプレーのクオリティーの高さの秘訣が分かった気がした。それはただ脚力があるだけではなく、上半身の柔軟性が高いということだった。

 サイドバックのときより相手と競り合いながら前に出るシーンが多く、その際にスピードで相手の前に出た後に、上半身や腕を使って相手をロックしながらバランスを崩すことなくさらに加速をして前に出ていた。そのプレーを見て、肩甲骨の可動域の広さと体幹の強さ、そして股関節の柔らかさをより感じた。

 本人に話をしても、「腕がけっこう後ろに行くんです。バランスがとりやすいというか、柔軟性はあると思います」と口にしたように、スムーズな身体操作という武器もあるからこそ、サイドバックや攻撃的ディフェンダーとして躍動できている。

「代表で『やれる』という自信はつきましたし、これからはサイドバックとしてやっていきたいという思いはより強くなりました。自分の身体能力はサイドハーフをやればやるほど武器だと思うようになりましたし、もっと上がった後の立ち位置、戻る場所など、動きの整理とバリエーションを増やすことができれば、もっとその武器が生きると思うので、伸びシロだと思って取り組んでいきたいと思います」

 大きな可能性を彼自身も見出している。だからこそ、それを成長という形に変えていくために、小泉はまっすぐに未来を見つめて自己研鑽をし続ける。日本期待の大型サイドバックとしてのロマンを背負って。

(安藤隆人 / Takahito Ando)

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安藤隆人

あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』(共に徳間書店)、など15作を数える。名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクターも兼任。

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