世代屈指の逸材が挑んだ「人生を変える大会」 2年前から進化…強烈に意識する“ライバル”

大阪体育大2年DF池戸柊宇「自分の可能性に気づけた」
3月1日に関東B選抜の優勝で閉幕したデンソーカップチャレンジ刈谷大会(通称・デンチャレ)。ここではデンチャレ本戦で目に留まった選手の物語を紹介していく。今回は4位となったU-20全日本大学選抜のDF池戸柊宇(大阪体育大)について。183センチのサイズと屈強なフィジカル、左右両足のパワーキックとスピードを備えている。関西屈指のDFとして注目を集め始めている。
【PR】ABEMA de DAZN、2/6開幕『明治安田Jリーグ百年構想リーグ』全試合生配信!毎節厳選6試合は無料!
デンチャレでは3-4-2-1の左センターバックとしてプレーし、圧倒的な空中戦の強さと、相手DFラインの背後を通すロングキックで攻撃の起点になった。ただチームとしてはグループリーグを3戦全て引き分けで3位通過し、5・6位決定戦では日本高校選抜に1-2と破れるなど、不本意な結果に終わった。
だが、どの試合でも空中戦では無双し、ボールを足元で止めてからワンステップで繰り出される左右のロングキック、スピードに乗ってボールを運んでからパスを入れる攻撃のスイッチは間違いなくハイクオリティーだった。
「デンチャレは『人生を変える大会』だと思っています。実際に2年前に日本高校選抜の一員としてこの大会に出て、レベルの高さに大きな衝撃を受けましたが、同時に『やれる』という手応えを掴めたことで、大学サッカーに自信を持った状態で臨むことができました。僕にとって、ここに戻って来られたことが大きな意義があるんです」
ヴィッセル神戸伊丹U-15から京都橘高に進学した池戸は、米澤一成監督にその身体能力、スピード、両足のキックを評価された。左サイドバックをテストしてもらったことで視野が一気に広がり、一気に成長曲線を描いていった。
「ずっとCBをやってきたので、これからもCBとして勝負をしていくと思っていました。でも左SBをやらせてもらったことで、初めて自分の可能性に気づけたんです」
突破からのクロスという持ち味を発見したことで、前への推進力が生まれた。CBに戻ってもボールを積極的に受けて、左右のキックで大きな展開を入れたり、ドリブルで持ち出してからパスで攻撃のスイッチを入れるなどプレーの幅が広がった。
高校3年時に出場した全国高校サッカー選手権大会は初戦で富山第一高に1-2で敗れたが、そのスケールの大きさが評価されて日本高校選抜に選出された。ここで再びSBとして起用されると、NEXT GENERATION MATCHのヴィッセル神戸U-18戦で決勝弾をマーク。ユース昇格を果たせなかった悔しさを最高の形で示した。
その後に行われたデンチャレではさらに対戦相手のレベルが上がった中で、SB兼CBとして貴重な経験を積んだ。最もインパクトを受けたのは、先発出場をした関東A選抜戦でFW中村草太(サンフレッチェ広島)とのマッチアップだ。圧倒的なスピードとキレ、頭脳的なオフザボールの動きに度肝を抜かれたが、高校生ながら負けじと食らいついた。そして、高校選抜のヨーロッパ遠征にも参加するなど、3か月で人生を変えるほどの大きな出来事が続いた。
「対戦相手から多くのものを学びましたが、同時に(高校選抜で)チームメイトだった小泉佳絃(明治大)、塩川桜道(流通経済大)からは大きな刺激を受けました。2人とも外国人選手相手でもパワー、スピード、技術で負けていないし、自信を持って堂々と戦っていた。僕はメンタルも技術も両方鍛えないと追いつけないと思ったし、大学でもっと成長して追い越したいと強く思いました」
濃密な3か月間を経て、関西学生サッカーリーグ1部の強豪・大阪体育大に入学すると、入学直後から3バックの左CBとしてレギュラーの座を掴み、その年の関西1部リーグの新人賞を獲得した。
昨年もCBの主軸としてシーズンを戦い抜き、チームに欠かせない存在になった。U-20全日本大学選抜のメンバーに選ばれ、2年ぶりのデンチャレに出場に繋がった。
「高校、大学と質の高い経験を積めば積むほど、どんどん身体が絞れて、動きが軽快になっていくんです。それによってこれまで届かなかったところに足が伸びたり、一歩がスムーズに出るようになったりと、成長を実感できる。だからこそ、今回の経験も僕にとって本当に重要な財産になると思います」
U-20全日本大学選抜で再びチームメイトとなった小泉は、CBだけでなく、右SBとして急激に伸びてU-23アジアカップで優勝に貢献するなど、世代屈指のDFとなっていた。2年前より成長しているのは自分だけではないと改めて感じられたことも、池戸にとっては大きなプラスになった。
「もっとビルドアップや守備、攻撃参加の面を磨いて、またこの舞台に帰ってきたいと思います」
最近はウィングバックにもトライしている。DFライン、ウィングバックと多くのポジションをこなせる屈強なユーティリティーに対し、すでにJクラブも獲得に動き出している。さらなる刺激と経験を求めて。池戸はただひたすら前を見つめてライバルたちを追い越していく力を積み上げていく。
(安藤隆人 / Takahito Ando)
安藤隆人
あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』(共に徳間書店)、など15作を数える。名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクターも兼任。



















