15クラブが争奪戦の逸材 大事にする恩師の言葉…柏入り決断は「もっと伸ばせると思った」

柏内定が決まった常藤奏【写真:安藤隆人】
柏内定が決まった常藤奏【写真:安藤隆人】

関東A選抜のDF常藤奏「ちゃんと誠意を持って対応しないといけないと」

 3月1日に関東B選抜の優勝で閉幕したデンソーカップチャレンジ刈谷大会(通称・デンチャレ)。ここではデンチャレ本戦で目に留まった選手の物語を紹介していく。今回は決勝で関東Bに敗れた関東A選抜のDF常藤奏(中央大)について。実に15クラブほどのJクラブの激しい争奪戦の末に柏レイソル入りを決めた注目DFの決断の経緯と、大事にしている高校の恩師の言葉とは。

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「1年の時からずっとデンチャレに選んでもらっている立場として、自分がプレーを牽引していく責任がありますし、(負傷離脱したMF徳永)涼(筑波大)にキャプテンマークを託してもらった以上、自分が強い思いを持ってプレーすることを大事にしています」

 結果は決勝でライバルの関東B選抜に0-1で破れて準優勝に終わったが、常藤が見せたキャプテンシーと、右サイドバックとして激しいアップダウンと、ビルドアップへの関わり、そして対人の強さと読みの鋭さを生かした守備は随所に光っていた。

 常藤は広島県出身。FCバイエルンツネイシから大阪の興國高に進学すると、内野智章監督(現・奈良クラブU-18監督)からサイドバックとしてのイロハを叩き込まれた。

 実は高校での彼のポジションはCBで、サイドバックではなかった。バイエルンツネイシではスピードを生かしたウィング。興國入学直後はサイドバックをやったが、すぐにCBにコンバート。183cmのサイズと両足のキック、ビルドアップ能力を持つCBとして、後ろからのビルドアップと積極的な攻撃参加を求められた。その一方で、内野監督はサイドバックをチーム戦術の要衝として、より具体的な指示をサイドバックに送っていた。

「ちょっとだけサイドバックをやっていたこともあって、自然とサイドバックへの指示が僕の耳に入ってくるんです。ちょうど僕の同サイドのサイドバックが中央大でも1つ下の後輩である西岡隼平で、彼への指示をずっと僕も聞いていました。例えばCBからボールを受けたらまずはオープンに置いて前を見る、そうしたらプレスに来た相手は縦を切るから中にドライブをしていく。他にも中に切り返してボランチに当てて、リターンをもらってオーバーロード(一定のゾーン・エリアに人数を集中させること)を使ってからサイドを変える。押し込んでいる時は、ボールを周りに預けたら、その場に立ち止まらないで相手のボランチ脇やポケットを取っていく。普段からチームとして戦術を学ぶ時間も多かったので、本当に具体的かつ分かりやすいので、頭にどんどん入って行ったのだと思います」

 この学びが中央大学に進学して一気に花を開いた。大学2年生まではチームではCB、デンチャレなどの選抜では右サイドバックをこなし、昨年からは右サイドバックがメインポジションになった。

「CBでもサイドバックでも、内野監督から戦術、プレーイメージを徹底して植え付けてもらったからこそ、大学に入ってから『こういうことを言っていたんや』と理解が深まったし、経験からいろいろなものに紐づけられて、自分の引き出しにつながったと思います。気づいたら内野監督にサイドバックとしてのイロハを叩き込まれていました」

 サイズとスピード、強さ、技術があって、CBでもサイドバックでもハイレベルなパフォーマンスを見せられるインテリジェンスを持っているからこそ、常藤の元に15チームを超えるオファーが殺到した。その中には練習参加をせずの直接オファーが多くを占めていた。

「本当に感謝しかない状況でした。それぞれのクラブに対して真摯に向きあって、ちゃんと誠意を持って対応しないといけないと思っていました。練習参加をしないクラブには早めに断りの連絡を入れさせていただいて、選択肢を絞った中で実際に練習を参加させてもらった上で考えた結果、レイソルに行くことを決めさせていただきました」

 柏の決め手はリカルド・ロドリゲス監督のサッカーにあった。

「味方の動き、相手の動きに対して自分がどう動くか。レイソルは3-4-3なのですが、多くのチームがレイソルに対して前からのプレスで、マンマーク気味にくるので、そのプレスを剥がす技術と戦術、コンビネーションをここでもっと伸ばせると思って決めました」

 柏ではウィングバック、3バックの左右のどれかを託されることが予想されている。実際にウィングバックをやってみて、「マッチアップする選手に対して、自分がどこまで攻守において圧倒できるか。新たな楽しみが増えた」と大きな手応えを掴んだという。

 高校時代の教えをベースに、どんどん自分の可能性を広げている常藤。アップグレードする手を止めない男の未来は明るい。

(安藤隆人 / Takahito Ando)

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安藤隆人

あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』(共に徳間書店)、など15作を数える。名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクターも兼任。

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