妻への感謝は「全然足りてない」 唯一手伝う皿洗い…森保監督を支える家族の存在

インタビューに応じた日本代表・森保監督【写真:藤岡雅樹】
インタビューに応じた日本代表・森保監督【写真:藤岡雅樹】

第2期では戦術からプライベートまでより“オープン”になった

 6月11日開幕の北中米ワールドカップ(W杯)まで100日を切った。「日本サッカーの未来を考える」を新コンセプトに掲げる「FOOTBALL ZONE」では、日本代表を率いる森保一監督のインタビューを随時配信。今回は指揮官を支える“家族”について。森保家の哲学が、代表選手を束ねるマネジメントにつながっていた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞、井上信太郎)

【PR】ABEMA de DAZN、2/6開幕『明治安田Jリーグ百年構想リーグ』全試合生配信!毎節厳選6試合は無料!

   ◇   ◇   ◇ 

 襲いかかる巨大なプレッシャー。日本サッカー界の顔として対峙し続ける森保監督は“変化”と“不変”を繰り返す日常を送る。日本代表を率いて8年。実感するのは周囲とのつながりだ。

「自分自身、根本的な部分は変わらないつもりです。でも、関わる人たちとの会う回数も多くなって、親しくコミュニケーションが取れるように変わってきているのかなと思います」

 一般的には日本代表監督という肩書きは必然的に周囲からのリスペクトという名の壁を作りやすい。だが、その危うさを誰よりも察知しているのが森保監督。自らを律して向き合う。「自分が『天狗』になっていないか、『裸の王様』になっていないか」。選手に、スタッフに、ファン・サポーターに……関わる人だけでなく、森保ジャパンにエールを送る全ての人への姿勢だ。

「そこは常に気をつけています。時間が長くなると、周りの方も気を遣って指摘しづらくなる部分があるかもしれない。(周囲も)良い意味で変わっているとありがたいなと思います。イジられることも増えてくれると嬉しいですね(笑)」

 実際、1期目から2期目にかけて森保監督が変化したことがある。1期目は自身が練習の指揮を取っていたが、2期目はコーチとの分業も行っており、トレーニング開始前にはメディアを含めてピッチ内外への挨拶からスタート。オープンな姿は戦術的な意図はもちろん、自身のプライベートに至るまで包み隠さず口にするようになった。

インタビューに応じた日本代表・森保監督【写真:藤岡雅樹】
インタビューに応じた日本代表・森保監督【写真:藤岡雅樹】

支え続ける妻・由美子さんの言葉

「1期目と2期目で一番変わったのは、説明の量だと思います。メディアの皆さんが推測や想像で記事を書く際、どうしても『モヤモヤ感』が生まれてしまうだろうな、と感じるんですね。解消するためにも『私はこう考えています』ということをできるだけ伝えていきたい。最近では、験担ぎで勝負スーツとパンツを変えない話とかまで喋っていますけど(笑)。洗っていますよ、もちろん! 私生活含めてできる限り伝えて、いろんな価値観で見てもらえればいいかなと思っています」

 立場に溺れることはない。一方で、世界を舞台に戦う男にとって、家庭は唯一、鎧を脱げる場所。“不変”であるからこそ指揮官の力になる。支え続けてくれたのは、やはり妻・由美子さんだ。

「『パパの好きにすれば』と言われます。(妻は)本当にそれしか言わないんです。ありがたい限りです。自由にさせてもらっています」

 1年の大半をチームに捧げ、家を空ける。現役時代も、長崎日大高校の同級生だった由美子さんに生活全てを支えてもらった。「不器用」だという森保監督の“転勤先”にはいつも由美子さんの姿があった。

「自由にやらせてもらっている分、嫁さんは相当なストレスを抱えていたはずです。人としていつも感謝を込めて接してはいますが、多分全然足りていないと思います。手伝ってもぐちゃぐちゃになるのでできない。唯一手伝うのは皿洗いです」

 世界との戦いを終えて、羽を休める憩いの場。目尻を下げた指揮官が見せた柔和な表情がそれを表していた。

「料理も掃除もできないし、洗濯物のたたみ方にもきっとこだわりがあるでしょうから。ぐちゃぐちゃにしてしまうんです。掃除も中途半端になるし、自分は雑なので。最近は孫ができて、嫁さんもそれが楽しいみたいで。本当に、孫がいてくれて良かったなと思っています」

夢を追う3人の息子の背中を押す「それでいいと思っています」

 日本を背負う森保監督の姿。それを見守る家族もそれぞれが自らの楽しみに向かって生きている。3人の息子たちがYouTuberを志した時も父として、決して否定しなかった。

「現代の生き方として、悪くないんじゃないか。そう思えたんです。止めるのは簡単ですが、本人の意志は止まらない。何より、私自身が好きなサッカーをやって、リスクのある生活をずっと続けてきた人間。『福利厚生のある安定した企業に勤めろ』と言っても何の説得力もありませんよね(笑)。息子たちも自立して自由に生きているので、それでいいと思っています」

 挑戦を恐れぬことを、誰よりも体現してきた。あらゆる選択肢の中から自らの判断で進むべき道を決める——。子育てでも「『何、食べる?』『何でもいい』は無しで、肉を食べるのか、魚を食べるのか。野球のバットとボール、サッカーボールをいつも置いていて、どっちにも行けるように。自由に自分で決めて、と」。これが多様なバックグラウンドを持つ日本代表選手を束ねる、森保流マネジメントの1つになった。

「選手の発想を生かしたい、個性を生かしたいと思っている。できるだけ窮屈な活動はしてもらいたくない」

 次なる大舞台、北中米W杯まで100日を切った。家庭で大切にしてきた“個の尊重”と“選択を委ねる”哲学は、日本代表にとっても強固な武器。自立を促し、自由を認め合う指揮官の揺るぎない信頼がある。2度目の挑戦。森保ジャパンは未知なる景色へと突き進む。

(FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎 / Shintaro Inoue)



page 1/1

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング