前半シュート15-0の衝撃…監督が喝「もうやるしかない」 昇格組に突き付けられた現実

千葉の小林慶行監督【写真:徳原隆元】
千葉の小林慶行監督【写真:徳原隆元】

千葉の小林慶行監督「戦術的な部分もあるんですが、その前に一番大事なことが」

 17年ぶりの“J1対決”となった第30回ちばぎんカップが1月31日に行われ、ホームの柏レイソルがジェフユナイテッド市原・千葉に2-1で勝利した。1点差ではあったが、千葉の小林慶行監督が「完敗」と認める柏のクオリティが際立つゲームだった。

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 リカルド・ロドリゲス体制2年目の柏は3-4-2-1をベースに、流動性を生かしたポゼッション能力とタイトなプレッシングで、4-4-2の千葉を押し込む。前半12分にCKの流れから、MF久保藤次郎のパスを受けたMF中川敦瑛がミドルシュート。これが千葉のディフェンスに当たってコースが変わり、ゴール右隅に吸い込まれた。その後も柏がゲームを制圧したが、度重なる決定機を千葉のGK若原智哉に阻止される。前半が終わって柏のシュートは15本、千葉は0本というデータが衝撃を与えた。

 後半になると千葉も、前から守備に行く姿勢を出し、ロングボールのセカンドも拾えるようになると、後半15分過ぎに立て続けのチャンスを得たところから、前半の失点シーンのお株を奪うようなCKからの素早いつなぎで、MF猪狩祐真のクロスをFW石川大地のゴールに結び付けた。しかし、終盤にMF戸嶋祥郎とMF仲間隼斗を投入し、攻撃のギアを入れ直した柏が迫力ある攻撃から、新加入MF山内日向汰のパスを右ワイドで受けた久保が、狙いすました左足の技ありシュート。これが決勝点となった。

 スコア以上に、内容面の差があったことは明らかだ。ただし、千葉のゴールを死守した若原は、チームのメンタル面の問題が、前半の劣勢につながってしまったことを認める。「受け身になるシーンが多かった。自分たちがもっとラインを上げて、前線からプレスをかけられれば、相手のミスも誘えるんじゃないかというシーンがありましたけど、何とか0-1で折り返せたのはよかった」と若原。ロッカールームでは小林監督の喝も入ったという。

 もちろん、この試合のために準備をしてきた方法論が前提にあっての話ではあるが、後ろから選手たちを見ていた若原からしても、昨年のJ1で2位だった柏をリスペクトしすぎて、ずるずると下がってしまう流れの悪さを感じていた。「柏がつなぎがうまいというのは知っていたので。そこで相手を食えれば、自分たちの勢いも出たと思います。でもディフェンスが低くなって間延びしてしまって、ライン間を使われて攻め込まれるシーンが多かった」と振り返る。

「喝入れられたので、もうやるしかないっすね(笑)」

 確かに後半の千葉は勇気を持って前に出る姿勢が表れて、セカンドボールを拾えるシーンも増えた。前半と後半の違いに関して、小林監督は「サッカーの根本的なところだと思っています。戦術的な部分もあるんですが、その前に一番大事なことがあって、その部分の準備としてどうだったのか」と振り返った。ただ、やはり大事なことは監督に言われたからではなく、選手が主体性を持って挑んでいく必要がある。

 若原は「開幕じゃなくてよかったねっていう感じではないです。勝ちに来てるので」と残念そうに語ったが、それでも百年構想リーグを前に、柏という相手と戦えたことの経験は先に生かしていく必要がある。その1つとして、監督から喝が入った入らないに関係なく「自分たちで、ピッチの中でもっとやらなければいけないというのも改めて感じますし、そういうリーダーシップを持ってやっていきたい」と前を向いた。

 J1と言っても、柏ほどボールポゼッションにこだわりとクオリティのあるチームは他に無く、開幕の浦和レッズ戦にしても、この試合の前半ほど圧倒される試合になることは考えにくい。それでも基本的にJ2よりも強度の高い相手に向き合っていくには、対策を含めた準備に加えて、相応の覚悟が必要になってくることが、この試合で証明された。

 千葉はスタメンを見てもJ1慣れしている選手が少なく、交代選手も昨年は怪我の影響で出場機会が無かったプロ入り2年目の猪狩や17歳のMF姫野誠ら、若い選手も多い。しかし、そうしたものもピッチに立てば言い訳にすらならないのが勝負の世界だ。

 百年構想リーグに降格は無いが、勝利を目指すなかで経験と自信を積み上げていく必要がある。同県のライバルから、昇格1年目の千葉に厳しい現実を突き付けられた試合だが、圧倒された前半、巻き返しながら結局、突き放された後半の経験をリーグ戦に生かしていけるか。まずは浦和戦から注目していきたい。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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