首位攻防制した秘策「狙い通りだった」 相手の”ストロング”消し…徹底した監督からの「守備も攻撃だよ」

INAC神戸が2-1で浦和Lに勝利
WEリーグの優勝を争う天王山、三菱重工浦和レッズレディースとINAC神戸レオネッサが激突した11月8日の第13節は、アウェーのINACがアディショナルタイムの決勝ゴールで2-1の勝利を収めた。今季から宮本ともみ監督が率いるチームのハイプレスが試合の流れを持っていった。
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序盤から浦和のビルドアップに対して、INACは片方のサイドへ追い込んでいく組織的なプレスを仕掛けた。そして前半16分、浦和DF後藤若葉に対してFW吉田莉胡が中央を切ってプレスを掛けてドリブルさせる状況に追い込むと、MF成宮唯が中盤へのパスコースを切りながら挟み込んでボールをカット。そのままドリブルで右サイドへ持ち出した成宮は、中央へカットインして左足を振り抜いて先制ゴールを決めた。
宮本監督はこうした連動性のあるプレッシングについて「浦和にも素晴らしい選手が揃う中で、良さを出させない意味で守備はハマったと思います」と話す。その後も後半半ばに多少の息切れを感じさせるところまで、浦和の得意とする後方からつないで押し込んでいくプレーをさせなかった。
前線で相手のパスコースを限定しながら追い込み続けた吉田は「(浦和の)センターバック間の動かしに対して、自分と(成宮)唯さんところでプレスを掛けていくのは狙い通りだったし、自分の仕事だった」と話す。そして、成宮は宮本監督から「守備も攻撃だよ」という言葉がチームに掛けられていると明かした。
それでも浦和も意地を見せて、後半32分にコーナーキックからDF高橋はなが頭で合わせて同点に追いついた。この時間帯からは浦和が押し込んでいたが後半アディショナルタイム、INACはコーナーキックを得るとゴール前の大混戦で何回もシュートを打つ。浦和が体を張りブロックを続けたあとに少しゴールから離れた場所でボールを受けた成宮は、混戦の頭を越えるようなループシュートを放つ。これがさらにこぼれ、DF水野蕗奈が押し込んでの決勝ゴールになった。
宮本監督は「最後の最後まで1点を取ることを目指してやり続けてくれた。思いや魂のこもった素晴らしいゴールだったと思う」と選手たちを称えた。
昨年夏のパリ五輪まで、なでしこジャパンのコーチを務めていた宮本監督は就任1年目だが、攻守にINACはまとまりのあるプレーを続けた。WEリーグ創設から4シーズン、まだ女性監督の優勝は生まれていないが、成宮は「監督とスタッフの雰囲気もすごく良くて、選手との関係性もすごくいいので、本当にチームが一体感、クラブが一体となって、この強さが今出てるのかなっていうのは感じます」と、現状への自信を話した。
上位2チームが抜け出した形で迎えた直接対決を制したINACは、この勝利で2位の浦和に勝ち点5差をつけ、初年度以来のリーグ優勝へ向け大きく前進した。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)





















