韓国代表は「史上最も支持されない」…母国記者の嘆き 充実する日本との決定的な“差”

日韓両チームにおけるサポート体制の違いとは?【写真:ロイター & 徳原隆元】
日韓両チームにおけるサポート体制の違いとは?【写真:ロイター & 徳原隆元】

2026年のW杯出場を決めた日本と韓国の違い、工夫の凝らした日本のサポート

 6月10日、2026年アメリカ・カナダ・メキシコ共催ワールドカップ(W杯)アジア最終予選が終了し、日本代表と韓国代表の両チームがW杯出場権を掴んだ。日本は3月に世界最速で8大会連続8回目の本大会出場を確定させ、韓国は6月5日にアジア最多となる12回目(11大会連続)のW杯出場を決めていた。

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 順調に歩みを進めたように見える両チームだが、その内情は少々違うようだ。

 日本は選手のほとんどがヨーロッパでプレーし、個人の能力を高めたことが躍進の大きな要因であるのは間違いない。それに加えて山本昌邦ナショナルチームダイレクター(ND)が2023年以降、サポート体制を見直したことで、これまで以上にスムーズな本大会出場を決めた。

 山本NDは「FOOTBALL ZONE」のインタビューで3つの工夫を明らかにした。

 まず、ヨーロッパでプレーする選手たちが少しでも早く帰国できるように手配を整えたこと。前回の2022年W杯予選まで選手全員が揃うのは試合前日というのが珍しくなかった。しかし手配を整えることで、試合の前々日には練習に合流できるようにした。この1日の差が試合に臨む選手たちのコンディションを大幅に向上させた。

 同じように、日本代表の試合を終えた選手がすぐにヨーロッパに戻れるような細かい交通手段の手配も行われた。そのため、火曜日の試合を終えた選手が自分のクラブに戻った週末の試合に出られるようになり、質の高い試合に1試合でも多くプレーできるようになっている。このことで選手は日本代表に行ってクラブの自分のポジションを失わなくて済むようになり、またクラブも選手派遣に対して悪印象を持たずに済むようになった。

 2点目は、日本代表に来てもヨーロッパ時間で暮らせるようにしたこと。そのため選手への食事は1日に4回用意される。朝の食事時間はヨーロッパの早朝。ヨーロッパから帰国した選手は朝の食事を取らず、その代わりに夜遅くに3回目の食事を取れるようにした。このために食事を提供する人員、場所などにさまざまな工夫は必要だったが、そのおかげで選手たちは日本に戻ってきてもリズムを崩すことなく、またヨーロッパに戻ったあともスムーズに生活できるようになった。

 3点目はスタッフの充実。2022年カタールW杯後、日本代表分析スタッフは4人から2人に減った。しかし、山本NDはこれを4人に戻し、選手たちの調子などをより細かく見たり、相手の分析をより詳しくできるようにした。さらにW杯においては、この人員を4人から8人に増やし、特に負荷がかかるグループリーグ突破後の対戦相手分析に割り当てる予定になっている。

韓国代表チームの最大の弱点「応援されても足りないのに、支持されない」

 一方で韓国はどうだろうか。韓国語版「Four Four Two」の編集長を務めたこともあるホン・ジェミン記者は、この日本の体制を聞いて、韓国は「コーチングスタッフのレベルやサポート体制は、2002年W杯以降、停滞していると言えます」と厳しく分析した。

「代表チームの運営面において、韓国の進化の速度は遅いと思います。ソン・フンミン、イ・ガンイン、キム・ミンジェといった特別な個人は登場しましたが、代表チームの運営はそうした世界クラスの選手たちのレベルに達していません。現在、チョン・モンギュ大韓サッカー協会会長の最優先課題は、天安サッカー総合センターの移転を成功させることです。実際に協会内でも、最も有能な人材は代表チームではなく、天安タスクフォースチームに投入されています」

 そして森保監督の言葉を引用しつつ、厳しい見通しを明らかにしている。

「2026年北中米W杯に出場する韓国代表チームは、大韓民国サッカー史上最も支持されないチームになる見込みです。先日、森保一監督は『W杯で優勝するには、代表チームだけでなく、すべての国民が一体となる必要がある』と述べました。この点が現在の韓国代表チームの最大の弱点です。応援されても足りないのに、支持されない代表チームなのです」

 このホン記者の意見は厳しすぎるかもしれない。システムの構築が得意な日本に対して、韓国は最後の踏ん張りが利き、帳尻を合わせてくるのが得意なのだ。しかし、今のところ代表チームをどうサポートしていくかという体制については、日本が一歩リードしていると考えていいだろう。

(森雅史 / Masafumi Mori)



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森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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