森保Jが抱えるメンバー構成問題 露呈した“弱点”…万が一を防ぐための「実力派6選手」

敗戦で浮き彫りになった日本代表におけるベテランDFの必要性【写真:Getty Images】
敗戦で浮き彫りになった日本代表におけるベテランDFの必要性【写真:Getty Images】

アウェーのオーストラリア戦で露わになった日本代表のメンバー構成問題

 6月5日に開催された2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選で、日本代表はオーストラリア代表に終了間際の失点で0-1と敗れた。

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 もっとも、すでに日本は本大会出場を決めたあとということもあり、多くのテストが行われた。例えば関根大輝(スタッド・ランス/フランス)、平河悠(ブリストル・シティ/イングランド)、俵積田晃太(FC東京)はこの試合が代表初出場となった。

 また、大橋祐紀(ブラックバーン/イングランド)と鈴木唯人(フライブルク/ドイツ)は日本代表2試合目、谷晃生(FC町田ゼルビア)と高井幸大(川崎フロンターレ)、藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン/ベルギー)は3試合目、渡辺剛(ヘント/ベルギー)は4試合目、佐野海舟(マインツ/ドイツ)は5試合目、途中交代で出場した瀬古歩夢(グラスホッパー/スイス)は6試合目、町野修斗(ホルシュタイン・キール/ドイツ)は7試合目と、経験の浅い選手たちで構成されていた。

 しかし、これで個人の評価を決めることはできない。2024年カタールアジアカップで経験の浅かった鈴木彩艶(当時シント=トロイデン/ベルギー、現パルマ/イタリア)は不安定なプレーを見せたが、その後経験を積んで現在は代表の定位置を確保していることを考えれば明らかだ。オーストラリア戦は勝利を追い求めつつも、それぞれの選手に経験を積ませ、そしてどこまでできるのか判断するための材料になったと考えることが適切だろう。

 一方で、チームのメンバー構成には問題があることが明らかになった。

 今回招集されたDFの平均出場回数は24試合。だがこれは長友佑都(FC東京)の142試合という歴代2位の出場記録を持つ選手がいるためだ。ほかの選手たちの経験不足は否めない。これでは、今回のように守備陣の負傷交代に対応するのは難しい。そして守備陣の負傷はこれまでも起こってきたことだ。

 過去の事態を救ってきたのは谷口彰悟(シント=トロイデン/ベルギー)だった。2022年カタールW杯で、日本代表は板倉滉(ボルシアMG/ドイツ)、冨安健洋(アーセナル/イングランド)という、それまで屋台骨を支えていた選手たちのコンディションが整わなかった。そこで出場した谷口が見事なカバーを見せたのだ。

W杯を見据えたベテラン候補、苦労人や駆け引きが巧みな実力派も

 ベテランのDFはいきなり投入されても力を発揮できる。ただし、それでもチームに招集し続けておかなければ、ほかの選手たちとのコミュニケーションもコンビネーションも形成されない。

 谷口が2024年11月にアキレス腱断裂という怪我を負い、日本代表を離れたのちに森保一監督はベテランのセンターバック(CB)を招集していない。谷口は順調に復帰への道を歩いているようだが、さらにほかの選手も招集しておかなければ、今回のような事態には対応できない。今の日本代表チームは「ベテランのCB」という枠が埋まっていないのだ。

 今の日本代表は攻撃に多くのタレントを揃えている。しかし、ここからは本大会を見込んで守備陣の充実を計らなければならない。では、どんなベテランDFがいるのか。過去、森保監督が招集したメンバーで、1997年1月27日生まれの板倉よりも年上の選手に限定するとこんな選手たちがいる。

【塩谷司(サンフレッチェ広島)】
1988年12月5日生まれ(36歳)
 国士舘大卒業後、水戸でプレーしていたところ、広島を率いていた森保監督に見出されてその後、日本代表まで上り詰めた苦労人。アルベルト・ザッケローニ監督に初めて招集され、その後ハビエル・アギーレ監督時代に代表デビュー。バヒド・ハリルホジッチ監督にも招集され、2019年、森保監督からアジアカップに追加招集されて日本代表で5年ぶりにプレーしている。これまで日本代表で7試合プレー。J1通算253試合出場。

【佐々木翔(サンフレッチェ広島)】 1989年10月2日生まれ(35歳)
 CBもサイドバックもこなせることに加え、今シーズンもここまでリーグ戦18試合にフル出場。スタミナの衰えも見えない。何より森保監督をよく知るというアドバンテージを持っている。これまで日本代表では15試合でプレー。J1通算340試合出場

【昌子 源(FC町田ゼルビア)】 1992年12月11日生まれ(32歳)
 駆け引きに味を見せるDF。海外経験(トゥールーズ/フランス)もあり、キャプテンとして今季のJ1リーグ前半戦19試合にフル出場し守備陣を引っ張っている。ヘディングも武器の1つ。日本代表ではハリルホジッチ監督、西野朗監督、森保監督の下、20試合の出場経験を持つ。J1通算301試合出場。

3人の日本代表監督の下でプレーしたDFも…「安心感を与えてくれる」

【植田直通(鹿島アントラーズ)】 1994年10月24日生まれ(30歳)
 強靱な肉体を武器にして、自分の役割を淡々とこなすDF。2018年から2022年まで海外(サークル・ブルッヘ/ベルギー、ニーム/フランス)でプレーしていた経験を生かせるはず。日本代表ではハリルホジッチ監督、西野監督、森保監督の下で16試合の出場経験がある。J1通算187試合出場。

【畠中槙之輔(セレッソ大阪)】 1995年8月25日生まれ(29歳)
 出場が減った横浜F・マリノスから心機一転、今シーズンはC大阪でプレー時間を延ばしている。現在リーグ戦20試合を終えて16試合でプレー。これまで森保監督指揮下の日本代表で10試合に出場している。J1通算161試合出場。

【中谷進之介(ガンバ大阪)】 1996年3月24日生まれ(29歳)
 2024年シーズンに名古屋グランパスからG大阪へ移籍すると守備を劇的に改善した。森保監督の下、2022年カタールW杯アジア2次予選の3試合を含んだ5試合で出場経験がある。J1通算318試合出場。

 この中の1人でもチームに加えておくべきではないだろうか。そうすれば万が一という時、安心感を与えてくれるのは間違いないだろう。

(森雅史 / Masafumi Mori)



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森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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