遠藤航vs佐野海舟…日本代表「最新序列」点検 W杯予選の裏で進む“争い”の焦点

6月シリーズでにおける日本代表メンバー争いの焦点とは?【写真:ロイター】
6月シリーズでにおける日本代表メンバー争いの焦点とは?【写真:ロイター】

注目の「三番手」争い、唯一1つのポジションに2人しかいないのは…

 北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選のオーストラリア戦とインドネシア戦のメンバーは3月から14人を変更し、初選出が7人という顔ぶれになった。

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 GK3人、DF7人、MF/FW17人となっているが、もう少し細かく見ていくと今回の焦点は主に三番手争いだと分かる。

 GKは鈴木彩艶に大迫敬介、谷晃生が挑む形で変わらず。システムはおそらく予選で定番となった3-4-2-1だろう。4バックとすると本職が関根大輝と長友佑都しかいないからだ。この2人を除く5人がDFの3枠を争う。

 DFの中央と右側で3人が選ばれている(高井幸大、瀬古歩夢、渡辺剛)。ここには今回は招集されていない板倉滉、冨安健洋、谷口彰悟がいる。左は町田浩樹と初招集の鈴木淳之介。ここには伊藤洋輝が入ってくる。冨安、板倉、伊藤をベストとすると、DFに関しては二番手ないし三番手争いと考えられる。

 ウイングバックは左右3人ずつを選出。関根、長友をここに入れると、それぞれのポジションに4人という激戦区だ。ただし、こちらも右は伊東純也、堂安律、左には三笘薫と今回招集されている中村敬斗がいるので、どちらも三番目の椅子の争いになる。

 2シャドーは久保建英、鎌田大地、大橋祐紀、鈴木唯人の4人を選出。佐野航大と三戸舜介もここだとすると2つのポジションに6人。ここに南野拓実、旗手怜央を加えると8人になる。久保、鎌田、南野、旗手の4人は序列上位と考えられるのでやはり左右それぞれ三番手争いだ。

 FWは町野修斗、細谷真大。今回未招集の上田綺世、前田大然、小川航基にどこまで迫ることができるか。

 2ボランチには熊坂光希、藤田譲瑠チマ、佐野海舟、遠藤航。ボランチに関しては攻撃時に左インサイドハーフに上がる役割を主に守田英正、田中碧が務めてきた。今回はこの2人がいないので熊坂、藤田にはチャンスなのだが、鎌田がこのポジションの適性があることを考えるとやはり三番手争いだろう。

 唯一、1つのポジションに2人しかいないのが遠藤航の場所である。

 もともとここは遠藤の一択だった。今回、遠藤に挑む形になるのが佐野海舟だ。ブンデスリーガでは傑出したプレーを見せており、すでに遠藤に次ぐ二番手の序列は確定していると見ていい。もし佐野海舟が圧倒的なパフォーマンスを披露すれば、一気に遠藤を脅かす存在に浮上する可能性もあるわけだ。

 不祥事がなければ佐野海舟は代表の常連になっていたはずだった。不起訴とはいえ、日本代表に招集すべきかどうかの議論はあるかもしれない。ただ、遠藤のバックアップがいない状態を脱せられるのは戦力的に大きなプラスなのは間違いない。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)



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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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