J助っ人がなぜそこに…奇跡のブロック舞台裏「あそこはデッドスポット」 衝撃弾につながった勘

京都のパトリック・ウィリアムがヘッドでクリア「感覚で身体が動きました」
京都サンガF.C.は5月7日のJ1第15節でFC町田ゼルビアに2-1の逆転勝利を収めて3位に浮上した。この試合では1-1で迎えた後半アディショナルタイム5分、波状攻撃を仕掛けた京都が、最後はDF福田心之助の左足ミドルシュートで劇的に勝ちこしたが、その直前にあったDFパトリック・ウィリアムのスーパーブロックがなければ、勝ち点3はおろか、3連敗で勝ち点ゼロというストーリーになっていたかもしれない。
1-1で迎えた後半アディショナルタイム3分、前線の3人を入れ替えて勝ち越しゴールを狙ってきた町田は波状攻撃を見せ、セットプレーの流れからDF岡村大八がエリア内で狙いすました右足のシュートを放った。好セーブを見せていたGK太田岳志も左腕を伸ばしたが届かない。それでもゴールライン上にはパトリック・ウィリアムが戻り、ヘッドでボールを枠外へ弾き飛ばした。
この勝ち点1を守ったプレーが、福田のゴールにつながり、勝ち点3獲得につながった。何度も町田の選手たちと激しいフィジカルコンタクトを見せ、ピッチに倒れこむ場面もあったウィリアムだが、「自分を含め、チーム全員が頑張ったことが最後のゴールにつながりました。自分たちの頑張りが、勝利を持ってこれたことは良かったと思います」と、勝ち点3獲得を喜んだ。
「個人的には怪我明けだったので、試合のリズムとか、感覚がまだなかったので難しい部分はありました。(連戦で)チームとしても簡単ではなく、相手には強さと速さのあるアタッカーがいましたが、私たちのDF陣で抑えることができて結果につながったのは喜ばしいです」と、J1での町田からの初勝利を喜んだ。
ほとんどの時間帯で相手のアタッカーを激しくマークしていたウィリアムだが、なぜ岡村のシュートシーンではゴールをカバーできていたのか。「そのときの感覚です。京都は基本的に相手のアタッカーに密着して、バチバチと守るチームなのですが、チームの分析もあって『あそこで巻いたボールを打ってくるな』という感覚がありました。(太田)岳志にとってもあそこはデッドスポットになる、防ぐのが難しいところになるかなという感覚があったので、そういうところに入らなきゃいけないという感覚で身体が動きました」と、ビッグセーブを振り返った。
相手のシュートを読む勘が冴えたDFは、ボールを弾いたなかで「ここで守り切ったから、勝ち点1は取れる」という感覚を得るとともに、「みんなの雰囲気も良くなった感覚があったので、まだ勝ち点3(逆転ゴール)を狙いにいくチャンスはあるなと思っていました。それが結果的にゴールにつながってよかったです」と、ピンチをしのいで満足するのではなく、勝ち越しゴールを狙う気持ちを持てていたと振り返った。
決勝ゴールは同じく最終ラインを務め、試合に出られない時期が続いた福田が決めたが、「私たちは勝ちに持ってくるに値するプレーをしていたと思います。(ゴールを決めた)福田(心之助)も非常にファイトできる選手ですし、チームの戦うスタイルを体現できる選手がゴールできたことは、彼にとっても、チームにとっても良かった」と、喜んだ。
5試合ぶりの先発出場で存在感を示したウィリアムだが、次の名古屋戦に向けてはチーム内の競争があると強調する。「自分が(戦列に)戻ることで、DF陣にまた競争が生まれます。そこで曺貴裁監督が選んだ選手が、ピッチで仕事をして結果を出せればいい」。劇的な逆転勝利に大きく貢献したDFは、すでに中3日で迎える試合に切り替えていた。