西川が負傷→緊急出場「緊張がきた」 2つのファインセーブ…指揮官も評価「彼は良い試合をした」

牲川歩見が緊急出場【写真:徳原隆元】
牲川歩見が緊急出場【写真:徳原隆元】

負傷の西川周作に代わって牲川歩見が緊急出場

 浦和レッズは5月6日のJ1第15節、ガンバ大阪戦に0-1で敗戦。連勝が5でストップしたが、試合開始直後に不動のGK西川周作が負傷交代を余儀なくされ、GK牲川歩見がスクランブル出場。2つのファインセーブも見せたが、失点場面は「クロスにアタックしたかった」と悔しさを語った。

 浦和は前半4分、G大阪の右サイドからのクロスを西川がジャンプしてキャッチ。しかし、西川は着地後に足を気にする姿を見せ、一度プレーが切れてメディカルスタッフが入った。左足の状態を確認した後に一度はプレーに戻ったが、直後のプレーで試合続行不可能に。手を挙げてプレーを止めることを要求し、前半9分に牲川との交代になった。前節の東京ヴェルディ戦で公式戦通算800試合出場を達成し、J1通算無失点試合203試合は2位以下を大きく引き離す絶対守護神にまさかのアクシデントだった。

 そこで急きょ出場となったのが牲川だった。本大会のメンバー入りこそ逃したが、2016年のリオデジャネイロ五輪に向けた世代別代表ではコンスタントに招集を受けていた実力者で、浦和には22年に加入。同年から浦和に就任したジョアン・ミレッGKコーチの指導も受けながら力をつけ、昨季は西川が試合中に退場処分となったサガン鳥栖戦でJ1デビューを果たしていた。その時もスクランブル出場だったが、落ち着いたプレーを見せていた。

 西川が倒れ込んだ時、「本当に(出番が)来るってなった時には緊張がきた」と話したものの、慌てずに試合に入る秘訣を「常に試合を想定しておくところが自分の中であるので、そこのイメージを常に持ちながら練習から取り組むようにしているし、日々の過ごし方も試合を逆算している」と話す。そして、前半にはこぼれ球に反応したFW満田誠が至近距離から放ったシュートを鋭い反応でセーブし、後半立ち上がりには最終ライン背後に抜け出したFW山下諒也に対して上手く距離を詰めてシュートを防いだ。

 マチェイ・スコルジャ監督は試合後、「西川はチームにとって非常に重要な一員ですが、本日は彼がいなかったことで負けた試合ではないと思います。牲川歩見も本日、2回良いセービングを見せました。彼は良い試合をしたと思います」と、コメントしていた。

 それだけに悔やまれるのは後半8分に決勝ゴールを奪われた場面だ。FW食野亮太郎のクロスをファーサイドで山下にヘディングで合わせられたものは、4バックの泣き所とも言えるサイドバックの裏側に入ってくるボールだった。牲川は「相手がどこにいるか確認しているかと、オーガナイズの部分で誰がどこを担当するかが整理されていれば、ある程度難しいボールが来ても弾き返すことができると思うので、そこの整理の部分だったと思う」としたうえで、「まずクロスにアタックしたかったというところが正直な部分」と話した。

 スコルジャ監督は「西川のケガが重傷でないことを願っていますが、状態を知るのには明日までかかると思います」とも話した。浦和は来月に開幕するクラブ・ワールドカップ(W杯)でインテル(イタリア)らの強豪と対峙することになる。米国を舞台にする世界大会で、長年にわたって地道に力をつけてきた牲川が浦和のゴールを守る可能性もありそうだ。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

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