出場ゼロ→守護神定着…身長2m逸材GKが覚醒へ 苦しんだ4年間「ずっと彼女がそばに」

札幌の正GKを務める中野小次郎【写真:徳原隆元】
札幌の正GKを務める中野小次郎【写真:徳原隆元】

札幌の中野小次郎、4月に結婚発表「付き合ったときから支えてくれていた」

 身長2メートルと規格外の体格を誇る逸材ゴールキーパーが、ついに覚醒のときを迎えようとしている。北海道コンサドーレ札幌は5月3日、J2リーグ第13節でモンテディオ山形に1-0で勝利。今季2度目のクリーンシートを記録したGK中野小次郎は「しっかり勝ち点3を取れたのは良かった」と試合を振り返った。

 勝ち点13で並ぶ両者の対戦は、後半10分に札幌の前線のプレスがはまり、FWアマドゥ・バカヨコが冷静に流し込んで先制点。終盤の山形の猛攻を耐え、ウノゼロで勝利した。中野は3月15日のブラウブリッツ秋田戦から9試合連続で先発出場。昨季はリーグ戦での出場ゼロだったが、飛躍のシーズンとなっている。

「結果としては1-0でクリーンシートで終われたのは、アウェーですごく良かったと思うんですけど、自分のパフォーマンス的には全然。自分のミスで失点してもおかしくなかったので、満足は全くしてない。きょうはたまたまゼロで終えたけど、いつかはやられるときが来ると思うので、そうならないように」

 中野が言及したのは、後半30分の場面。相手のロングフィードに飛び出したが、風で押し戻されたボールに触れることができずに交わされてしまう。ゴールはガラ空きになってしまったが、DF西野奨太がすぐにカバーに入ってシュートを打たせず。上がったクロスにも、DF家泉怜依が身体を張って事なきを得た。

「千葉戦で同じような形で失点したときに、周りの選手から後ろでカバーしてあげられなかったと言われて。自分のミスなので僕はどうこう言うつもりはなかったんですけど、きょうは誰かがミスしたときに、チーム全員で守るんだという信頼関係が全体としてあったので、ああいうシーンでも失点しなかった」

 2021年に法政大学から札幌に加入したが、苦しい4年間を過ごしてきた。巡ってきたチャンスをなかなかモノにできず、2023年は当時J2のツエーゲン金沢に期限付き移籍。昨季から札幌に復帰したが、GK菅野孝憲の牙城は崩せずリーグ戦では出場ゼロ。少ない出場機会から、ピッチ上では不安の色も感じられた。

 しかし、今季は出場を重ねるごとにプレーにも自身がみなぎる。4月21日には、大学時代からのお相手との結婚も発表。「いいときも悪いときもずっと彼女がそばにいてくれましたし、結婚したから良くなったというよりかは、付き合ったときから支えてくれていたので、そこは本当に感謝しています」と語る。

「まだまだ本当にここから。スゲさんは何百試合とキャリアを重ねていて、そういう選手になっていかないといけないですし。ワンシーズン良かったね、でも次ダメだよね、でもダメだし。きょうの試合は良かったよね、次ダメだよね、でもダメだし。これをずっと継続していく必要があると思うので、チャンスをもらえる限りは本当にやり続けていかないといけないなというのは思います」

 今季から岩政大樹監督が就任し、序盤戦は今まで経験の少なかった若手選手に多くのチャンスが与えられた。一方、開幕4連敗と出遅れた影響で、ここからの中盤戦は落とせない試合が続く。「ここからは言い訳はできない」と厳しい表情で語った中野の成長が、J1昇格を成し遂げるためには必要になってくる。

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