E-1に推薦する国内組11人 欧州組に負けない逸材ズラリ…森保監督が頭を悩ませる激戦区は?

最もメンバーが読みにくいポジションはGK
7月に韓国で行われるE-1選手権はJリーグに所属する“国内組”にとって、日本代表での晴れ舞台であり、北中米W杯へのラスト1年に向けた絶好のアピールのチャンスにもなる。森保一監督は基本的にJ1で上位のチームから選びたいプランを明かすが、首位の鹿島アントラーズから4位の浦和レッズまで勝ち点3差、14位のガンバ大阪まで広げても勝ち点8差という混戦模様であり、森保監督を悩ませる要因でもあるだろう。
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指揮官はこれまで森保ジャパンになかなか呼べていない海外組も選考対象に入れることを示唆しているが、今回は“国内組”限定で筆者がE-1選手権に推薦したいベスト11を構成してみた。夏に海外移籍のある選手はメンバーから外れるケースも考えられるが、今回はそこを考えずに現在ベストと考えられる人選にしている。
GKは有力候補が多くいる中で、早川友基(鹿島アントラーズ)をチョイスした。森保ジャパンの常連メンバーである大迫敬介(サンフレッチェ広島)や谷晃生(FC町田ゼルビア)が順当に選ばれる可能性は高く、ベルギーから国内復帰したシュミット・ダニエル(名古屋グランパス)の存在も軽視できないが、首位の鹿島を抜群の安定感で支えながら、勝負どころでの好セーブや効果的なフィード、厳しい局面での統率力も目を見張る。
そのほか、ここまで最少失点の前川黛也(ヴィッセル神戸)やスケール感のある野澤大志ブランドン(FC東京)、ビルドアップやカバーリングで違いを見せる小島亨介(柏レイソル)、ACLエリートで大活躍中の山口瑠伊(川崎フロンターレ)が選ばれてもおかしくはない。とにかく今シーズンはGKが高水準で、実力も接近している。良い意味で、最もメンバーが読みにくいポジションだ。
3バックが想定されるディフェンスラインはACLエリートで国際基準の能力を示している高井幸大(川崎フロンターレ)が鉄板とも言えるが、ハードな守備と迫力ある攻撃参加が目を引く綱島悠斗(東京ヴェルディ)、圧倒的なエアバトルが際立つ安藤智哉(アビスパ福岡)のトリオになった。3人に共通するのはセットプレーの得点源にもなりうること。この点に限れば欧州組が中心のフルメンバーにも引けを取らない。
そのほかの候補としては新天地で抜群の身体能力と気持ちの強さを発揮する岡村大八(FC町田ゼルビア)、サイドバックとセンターバックのポリバレントで、機動力と強さを併せ持つ佐々木旭(川崎フロンターレ)、最終予選のメンバーで、自チームでは左ウイングバックを担う中山雄太(FC町田ゼルビア)、幅広い守備対応と鋭い縦パスを備える古賀太陽(柏レイソル)、空中戦に絶対の自信を持つ荒木隼人(サンフレッチェ広島)、万能性の高い山川哲史(ヴィッセル神戸)あたりが有力か。本来の実力を考えれば中谷進之介(ガンバ大阪)も有力だが、チームとしても個人としても上げてきてほしいところだ。
左右ウイングバックは中野就斗(サンフレッチェ広島)と三浦颯太(川崎フロンターレ)の二人が最有力と見る。中野は対人戦に強く、センターバックを担うこともできる。三浦はここまで5アシストという記録が表す通り、効果的な攻め上がりが目立っているが、守備の貢献も見逃せない。右サイドの候補としては濃野公人(鹿島アントラーズ)の名前を挙げないわけにはいかないが、怪我からの回復とコンディションが先行に影響しそうだ。久保藤次郎(柏レイソル)はシャドーも可能なサイドアタッカーで、現在の森保ジャパンのコンセプトにも合致する。
元鹿島で、新天地でブレイク中の須貝英大(京都サンガ)も面白い。半田陸(ガンバ大阪)は非凡な攻撃センスの持ち主で、中野と同じく3バックの右ストッパーとしても計算できる。左サイドは畑大雅(湘南ベルマーレ)が、昨シーズンの後半から成長が目立っており、注目していきたい一人だ。守備の対応力と攻撃参加の両面で好パフォーマンスが目を引く長沼洋一(浦和レッズ)は森保監督の教え子ということもあり、現在のパフォーマンスを持続できれば可能性が出てくる。
多種多様なボランチ…フルメンバーにも入れる候補
激戦区のボランチは、残り1年間で森保ジャパンのフルメンバーにも入っていけそうなポテンシャルを重視して熊坂光希(柏レイソル)と宇野禅斗(清水エスパルス)というコンビになった。二人ともボールを奪う能力がある上に、縦に付けるパスなどで違いを生み出すこともできる。宇野はセットプレーのキッカーを担うこともでき、熊坂はターゲットマンとしてセンターバック陣にも負けない高さを加えられるのは強みだ。
ボランチはタイプもいろいろだが、田中聡(サンフレッチェ広島)と川﨑颯太(京都サンガ)は守備の強度や機動力を基準に考えれば、かなり有力だろう。その一方で組み立てやチャンスメイクで違いを作れる選手として山本悠樹(川崎フロンターレ)の充実ぶりも見逃せない。ボックストゥボックスの動きや決定的なプレーという意味では川辺駿(サンフレッチェ広島)も外し難いが、現在チームの状態が良くないのは田中とともに、選考面で気になるところだ。
2シャドーは4得点1アシストの渡邊凌磨(浦和レッズ)と2得点5アシストの相馬勇紀(FC町田ゼルビア)というセットで、分かりやすい数字の評価と相手に与える怖さ、メンタリティも加味して選んだ。相馬はすでに森保ジャパンで代表向きのメンタリティを証明済みだが、渡邊も浦和での立ち居振る舞いを見る限り、そこの心配は無さそうだ。その二人に迫る存在が北野颯太(セレッソ大阪)で、ここまで4得点2アシスト。攻撃センスはもちろん、前からの守備でも異彩を放っている。
仕掛けの鋭さという基準では紺野和也(アビスパ福岡)や金子拓郎(浦和レッズ)も資格ありだが、ともに1得点であり、ポジション的に数字の説得力がもっと欲しい。紺野の同僚でもある見木友哉(アビスパ福岡)は正確なボール捌きとタイミングの良い飛び出しからのフィニッシュを併せ持つ選手で、ボランチとのポリバレントで期待できる。昨シーズン11得点の宮代大聖(ヴィッセル神戸)も実力的にはメンバーに相応しいが、怪我で出遅れた影響もあり、ここから説得力に足る結果を残していく必要がある。
武器という意味では高速ドリブルを誇る俵積田晃太(FC東京)あたりを加えてくる可能性もある。奥川雅也(京都サンガ)はドイツ時代に候補として挙がったことはあるが、超絶技巧と決定力を評価すれば、明確なアクセントとして入ってもおかしくない。そのほか、面白い存在としてはU-20の主力でもある佐藤龍之介(ファジアーノ岡山)を挙げたい。チームの低調に引っ張られてはいるが、3得点2アシストと気を吐く植中朝日(横浜F・マリノス)の攻守にアグレッシブなプレーも見逃せない。
1トップは原大智(京都サンガ)に。所属クラブでは左右ウイングで圧倒的な空中戦とダイナミックなチャンスメイク、フィニッシュを発揮しているが、3-4-2-1であれば1トップが適任か。ポテンシャル抜群の木村勇大(東京ヴェルディ)は相手の対策もあり、昨シーズンほど結果は出ていないが、森保監督が求めるFW像にかなりマッチしている。コンディションの回復次第だが、西村拓真(FC町田ゼルビア)は間違いなく候補の一人。前線での強さという基準では攻撃的なポジションを幅広くこなせる佐々木大樹(ヴィッセル神戸)のポテンシャルも買いたいが、神戸が上位に浮上してくることがセットだろう。
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)

河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。